書評<あなたのなかの宇宙:生物の体に記された宇宙全史>
かのカール・せーガンが「私たちの体は星のかけらでできている」とロマンチックに表現したように、幾千万の星のひとつに棲むちっぽけな人間も、ビッグバンで生成された各種原子の名残りだ。本書は我々の宇宙137億年の歴史が、我々地球上の生物とどのように関係しているのか、生物学と地学、天文学をオーバーラップさせ、考察していく。
現代の学問に対する批判の一つに「専門化」がある。「生物学」と一口にいっても、研究の分野は広大で、科学者どおしで話が通じないことも珍しくそうである。本書の狙いのひとつは、あまりに専門化された学問をつないでいき、宇宙と地球と生物の歴史をつむぐものである。宇宙・銀河系・地球が生成される過程で起こった現象が、地球の生物に歴史としてどのように刻まれているのか?必然と偶然の積み重ねを本書に見ることができる。
さらに各章はその歴史を追うに当たり、様々な発見のパイオニアとなる科学者たちをまず紹介することから始めるので、本書はちょっとした科学研究史としても読むことができる。教科書的な一冊ともいえるだろう。
初版2014/07 早川書房/ハードカバー
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