書評<極大と極小への冒険>
我々人間の感覚は、地球で暮らすぶんには非常に優れているものの、宇宙規模で起こることを観測するには、あまりにその知覚する範囲はせまい。本書は「数」「大きさ」「光」「音」「熱」「時間」について、その極大と極小がどこにあるのか、探っていく。
本書を読んで感心したのは、その比喩のうまさである。例えば大きさの章から引用。「地球の重力と小さな磁石で力比べをしたら、磁石はクリップを簡単に持ち上げて、勝ってしまう」。物理でいう”力”の関係は、どんな本を読んでもなかなか分かりにくいが、この比喩で初めて腑に落ちた気がする。極大と極小を説明するために、記載される数字は極端なものが多いが、直観的に理解できる解説と比喩のおかけで、この世界の”広大さ”を理解できた気にさせる、そんな1冊だ。
初版2014/06 紀伊国屋書店/ソフトカバー
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