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書評<日本‐喪失と再起の物語:黒船、敗戦、そして3・11 >

日本は黒船来航をきっかけにした実質的な”革命”から、第2次世界大戦の敗戦、奇跡の復興を果たした。しかし、バブル経済後の日本は停滞し、社会と経済の変化も見え隠れするが、一方で東日本大震災後は、他国では見ることができない「粘り強さ」を垣間見せた。幾多の困難を乗り越えてきた日本の実像を、フィナンシャルタイムのジャーナリストが分析する。

日本は考えてみればフシギな国だ。地球のプレート境界線上に位置することから、定期的に震災に見舞われる。気候も決して平坦ではない。そんな不安定な土台に立つ、エネルギーも平地の少ない島国なのに、1億2千万の人口を抱え、それなりの経済的地位にいる。また、多くの国の文化的影響を受けながら、このグローバルな時代にあっても”エキゾチック・ジャパン”をそれなりに維持している。その要因はどこにあるのか?本書は英国人ジャーナリストが政治的に右から左まで、また経済学者や文化人まで多くの人物にインタビューをすることにより、その謎の一端を明らかにしようとしている。
本書を読んで指摘できる日本のステレオタイプとは「定期的にかかる”リセット”に対して、それなりに適応できる、またそのリセットがあったから、結果的に発展してきた」ということだろうか。自然的、経済的、政治的な”厄災”に対して、喪失するものが多数あったとしても、また再起していく。近年の経済的不況とその対応にしても、無策でいたわけではなく、ポピュリスト政権の誕生や政権交代など、変化はいろいろあったのだ。それも欧米に先駆けて、の話である。
一方で、本書は日本人が自分で思っているほど、特殊な国民ではないことを指摘する。その秩序や治安は賞賛されてしかるべきだが、少なくともキリスト教圏の欧米人からすると、差異はあれど”フツーの人たち”なのである。
ごくフラットな目線を持つ欧米人から見た「日本の近現代史」として、タイトルから予想されるよりも読みやすく、体系的に歴史を理解できる良書である。

初版2014/10 早川書房/ハードカバー

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