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書評<月をマーケティングする>

アポロの月権着陸から半世紀近く経ったのに、人類はまだ地球軌道に宇宙ステーションを浮かべているだけで、火星にたどり着けていない。様々な実用衛星の技術はもちろん向上しているが、”科学的な冒険”はいまだ足踏みしたままだ。その最大の原因は技術的な問題よりも、現在の宇宙技術開発を一般大衆に広報し、それに続いて「なぜ巨額な経費をかけて火星に行かなければならないのか」を納得させられていないからだ。要するに、NASAに予算がつかないのである。では、人類最大の宇宙計画であったアポロ計画の広報の実態とはどのようなものであったのか?本書は当時の貴重な画像を多数掲載し、NASAのマーケティングがいかなるものであったかを明かしていく。

「NASAの最大の任務は広報である」なんだそうだ。一般大衆にいかに興味をもたせるか?いつの時代も宇宙に夢をはせるものは多いが、より多数の庶民はもっと実利を求める。アポロ計画では、ごく一般的なアメリカ市民に、月面着陸に熱狂させることに成功した。基本的に軍と政府の組織の延長であり、秘密保持を重視していたNASAの方針を一大転換させ、情報を積極的に開示する。巧妙な広報により、宇宙飛行士たちにがヒーローであり、良き家庭人であることを印象づける。SF作家や画家の協力を得て、魅力的な宇宙の姿やロケットの美しさ、科学技術溢れる未来を大衆に想起させる。それらの努力により、”ソ連に対する競争”という背景があったとはいえ、アポロ打ち上げのための巨額の経費をNASAは得ることが出来たのである。
アポロ計画の社会的側面を詳細にすることができる、貴重な一冊だ。

初版2014/10 日経BP社/ソフトカバー

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