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書評<日本軍と日本兵 米軍報告書は語る>

戦後教育のおかげも多分にあると思うが、旧日本陸軍というと、バンザイ突撃や玉砕など、ファナティックな集団である印象が強い。準軍事的に見ても、補給をおろそかにしていた面があるなど、偏った軍隊であるイメージがある。だが、それはあくまでイメージであり、実態はどうだったのか?対峙したアメリカ軍の実戦経験を兵士に伝えるための指示書に記載された文書をもとに、分析を試みたのが本書である。

ミリオタといっても、現代戦が専門である自分にとっても、旧日本陸軍の実態は見えにくい。学校の教科書にある狂信的な集団であるという印象の一方で、海外の小説を読むと、日本陸軍兵士を「闇夜を恐れず、勇気をもったプロの兵士」として扱われていたりもする。本書は、そのイメージを完全に覆さないまでも、日本兵の行った戦闘を違った視点で見ることに成功している。
自分などは日本陸軍はボルトアクションの旧式銃でアメリカ軍に立ち向かったイメージが強いが、実際にはしっかりした陣地から機関銃で相手を制圧する”機関銃の戦争”であったことが、本書を読んで強く印象に残る。また、ネットから指摘によると、”擲弾筒の戦争”であったことも確かである。どちらにしろ、アメリカ軍の戦車には火力不足であったが。本書を読んだのちに陸上自衛隊の装備を検討してみると、ときに極端にも思えるその装備ラインナップが、戦訓というか、トラウマに支配されていることがみてとれる。
旧日本陸軍と日本兵を分析するうえで、多角的な視点を提供してくれる良書である。


初版2014/01  講談社/講談社新書

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Comments

旧軍関連の本は読んでるほうですが、この本は知りませんでした。さっそく探してみたいと思いますw

Posted by: 腹ペコ山男 | 2014.12.30 at 22:25

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