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2015.01.31

書評<ルイ・ファン・ハール 鋼鉄のチューリップ>

プロサッカーにおいて、名将の一人として名高いオランダのファン・ハール。監督としてのキャリアをスタートしたオランダでは名門クラブの監督と代表の両方を歴任し、海外においても、バルセロナはじめとして多くのビッグ・クラブを率いている。彼の監督としての手腕は確かだが、一方で彼は傲岸不遜なキャラクターとして知られ、現に多くの選手やメディアと確執がある。その彼の半生を追い、名将の真の姿を描き出すノンフィクション。

2014年のワールドカップでは、下馬評の低かったオランダを率い、大会のサプライズをもたらした監督の一人であったファン・ハール。彼はミケルスからクライフへ受け継がれたアヤックスのパス・サッカーを完成させた戦術の専門家であるだけではない。選手のマネジメントやクラブへの関わり方など、多くの面で独特の哲学を持つ監督である。本書は彼の詳細な経歴やエピソードを追い、クラブオーナーやスター選手との衝突をいとわず、常に自分の哲学を貫く彼の生き様を描き出す。
本書はまた、オランダとその代表都市であるアムステルダムという、独特の空気を持った国家と都市を体現する男としてのファン・ハールをも描き出す。日本人にはエゴにもみえる意見と個性を曲げない気質を自らも持ちながら、そのオランダ人たちをまとめなければならなかった彼が、個性的なメンツが揃う世界のサッカー監督たちの中でも、ひと際目立つ存在であるのも当然であろう。ファン・ハールの独特の個性を、非常に巧みに描いた作品である。

初版2014/12 カンゼン/ソフトカバー

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