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2015.03.01

映画<アメリカン・スナイパー>を見てきた

クリント・イーストウッド監督作品「アメリカン・スナイパー」を見てきました。

映画の舞台はイラク戦争。主人公であるSEALS所属のクリス・カイルは、優秀な狙撃隊員として4度もイラクに遠征。その間、180人以上の敵を倒し、狙撃距離1.9㎞の射撃を成功させる伝説な男。一方で、家庭ではよき夫であろうとする、その両面を本作は描きます。

全体的には、イラクのテロリストたちとの激しい戦争を描きながら、主人公は過剰にヒーロー然としているわけではなく、アメリカに戻って家族と過ごすわずかな時も過剰な感情のぶつかりはなく、非常に乾いた映画だという印象が残りました。
しかしながら、多くのことが示唆されていることもまた確かです。同じようにイラクに派遣された弟は精神的に疲弊し、一緒に戦ってきた仲間も、戦争に対して疑問を感じながら、戦死していく。主人公は取り残されたように感じながらもなお、国家のために戦います。長く不毛な戦いを残すものが何か?見る者に問う感触は、人によっては反戦映画と感じるでしょう。
一方で、少年時代に狩猟で射撃を覚え、自分も息子に狩猟で射撃を教えるシーンは、銃という武器で家族と国家を守る「アメリカン・スナイパー」の主題そのものと感じます。「人間は3種類いる。羊、狼、牧羊犬だ」というクリスの父親の言葉は、アメリカの価値観の一つといえます。本作のラスト、道々で人々が国旗を打ち振るカイルの葬送シーンもまた、アメリカの変わらない価値観の現れでしょう。
ミリオタ的な視点だと、4度の派遣の間に主人公たちが使うライフル、あるいは乗り込む車両の変遷が、イラクが長期間にわたり犠牲を重ねた戦場であることを感じさせます。クリスの1回目の派遣では手作りの装甲をまとったハンビーが走っていたものが、4回目の派遣では無人機プレデターが画面に登場します。このことが、戦争というものが変質させたイラク戦争を象徴しています。また、イラク戦争というと民間人の犠牲が強調されがちですが、女性や子供を欺瞞に使うテロリストたちのえげつなさを描き、困難な戦争であったことを掴むことができます。

ベトナム戦争では帰国した兵士が歓迎されず、「ランボー」のような主人公と映画を生みました。現在、アメリカは中東の戦場から帰国した兵士に罵声を浴びせるような国ではなくなりましたが、「実戦で変質する兵士の精神」いう面は決して変わらないのでしょう。乾いた演出でありながら、多くのことを示唆する、素晴らしい映画でした。

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