書評<王者への挑戦状 世界最強フットボーラーなで斬り論>
スペイン人のサッカージャーナリスト、ヘスス・スアレスがヨーロッパ・トップリーグの選手たちを批評していくシリーズ。いまどきのアスリート的なフットボーラーを良しとせず、技巧とチームプレーを好む彼の批評は舌鋒鋭い。本書はこれまで取り上げてこなかった新鋭選手やディフェンダーなどを取り上げていく。
自分の判断基準がハッキリしているジャーナリストの評論は、ときに読者のフットボール観と衝突し、毒となることもある。しかし、この著者の文章は基準はしっかりしているものの、視点そのものは豊富であり、読者に多くのものを与えてくれる。まだ、フットボール大国がそれに用いる言葉は芳醇であり、読者のフットボールに対する精神や印象を変える力を持つ。著者はその言葉の使い方が巧みで、短い文章でありながら、選手たちのプレーと人生を巧みに表現している。単なる選手評論にとどまらない一冊だ。
初版2015/03 東邦出版/ソフトカバー
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