書評<よくもわるくも、新型車 『福野礼一郎のクルマ論評 2』>
「モーターファン・イラストレイテッド」に連載されている著者の新車試乗記事をまとめたもの。主には輸入車が多いが、なかには2tトラックの試乗などもありバラエティは豊富。また、本誌特集内の著者の記事もはさみ込まれており、自動車を構成する部品や素材に詳しい著者ならではの記事と技術論が展開される。
世に出ている自動車評論家のなかでは、機械構造や部品を構成する素材にまで言及して自動車の出来不出来を評論する著者は、別格の存在だと思う。他誌で自虐的に「我々、自動車評論家三軍は~」と書いており、自動車誌の世界もヒエラルキーがあって、新車試乗も最後にまわってくる立場らしいが、著者の評論がメーカーにとって耳の痛いところをついている証左であろう。
昨年発売した「クルマ論評1」では著者の評論も甘口になったものだと感じたのだが、本書ではその切れ味は戻っているようだ。EVの開発、発売が手放しで賞賛される業界にあって「今のEVは役立たず」と切って捨てる価値観には大いに同意する。もっと活躍の場を広げてほしいものだ。
初版2015/03 三栄書房/ムック
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