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書評<エルフと戦車と僕の毎日 I-パンツァーエルフの誕生->

過去に傷を抱えるものの、それを表に出すことなくエルフ大好きと戦車大好きというオタクの王道を歩む高校生、ユタカ。彼はある日突然、エルフのいるパラレルワールドに転移してしまう。しかもその世界はエルフたちの独立紛争開戦前夜という異常な状況。だがユタカは持ち前の”エルフスキー”精神から、エルフたちの独立闘争に加わり、さらに戦車小隊を率いることになる。

その発売が発表されてから、存在自体が疑われた新シリーズ。自分はいわゆる”大サトークラスタ”と呼ばれる著者の大ファンというほどではないし、著者の作品を読んだのは久しぶりだが、やはり著者の力量と作品の熱量は他の多くの類似作品とは一線を引く。タイトルと主人公のおかれた状況は、まあ今どきのラノベ風だが、そのプロローグに展開されるゲーム理論に魅かれ、2度3度と読み返してはその伏線の張り方に驚嘆し、物語の展開力の大きさにため息をつく。
今は作品が継続し、完結することを祈るのみである。

初版2015/04 KADOKAWA/富士見書房/kindle版

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書評<モンサント――世界の農業を支配する遺伝子組み換え企業>

環境保護活動家から蛇蝎のごとく嫌われる、農薬およびGMO(遺伝子組み換え)種子製造・販売の巨大企業、モンサント。古くはベトナム戦争で使用されたオレンジ剤(枯葉剤)製造に関わり、農薬の特許が切れてからはGMO普及の一翼を担うモンサントは、生物特許で世界の農業を支配をもくろみ、アメリカ各国政府や関係機関とも癒着しているとして、グローバル企業の”悪役”として有名である。そのグローバル企業の歴史と企業活動を辿り、世界中を取材して、その実態を明かしていく。

本書が提起する問題点は集約すると2点。GMOの危険性と、それを提供するモンサントの生物特許をはじめとする極端な商業主義だ。
まずGMOについて。個人的なスタンスとしては、GMOは人口増に対する対応策の手段として”必要悪”と考えていた。遺伝子組み換え自体は、人類が農業を始めて以来、不断に行っているといえる。だが、本書でそのスタンスを変えられた。それは人体への影響というよりも、経済的損失である。農薬使用量を抑え、収量増加を約束したはずのGMOは雑草との交雑により耐性雑草を生み出し、農薬使用量はかえって増加する。遺伝子改変したトウモロコシや綿花は収量を落とし、さらにモンサントから購入する種子代金によって、農民たちを苦境に陥れている。「第二の緑の革命」どころではない。食糧増産を妨げているのだ。
2点目のモンサントの企業の姿勢の問題。アメリカをはじめとして政府の関係当局と癒着し、科学的な安全性が曖昧なまま、新たな農薬やGMOを農地に投入する。収穫したトウモロコシなどのGMOの種子を保管する”特許侵害”に関しては、容赦なく訴訟を起こし、財力で農民たちを圧倒する。
しかし、本書が提起するこれらの問題点に関する状況は、モンサントが本拠を置くアメリカでは変わりつつあるようだ。農民たちがモンサントの宣伝文句の虚偽に気づき、欧州や日本がGMOの輸入を拒否していることもあって、GMO農業に対する考え方は変わりつつある。モンサントの小麦のGMOは導入することが出来なかった。様々な訴訟に関しても、農民たちの辛抱強い戦いによって勝利を得つつある。
問題は途上国の方であろう。モンサントによるGMOの導入は、豊かな農業地を生物多様性を危険に晒すモノカルチャー耕作地に変え、しかも農民たちはそれによって貧困から救われるどころか、とんでもない自殺者を出す地域さえ生み出している。
極端な陰謀論に陥ることなく、事実に基づいて冷静に描かれた、グローバル企業への告発本として必読であろう。

初版2015/01 作品社/ハードカバー

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北熊本駐屯地記念行事に行ってきた

陸自第8師団の根拠地である、北熊本駐屯地開放に行ってきた。目玉は九州初お披露目の10式戦車。
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がんばって早起きして一番のシャトルバスに乗ったので、舐めるようにディテールを楽しむ。
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側面のスペースアーマーと思われる手すりにナイロンのタイラップ。振動で開いちゃうのかな?
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RPG除けのゴムスカートのウェザリングの参考に。
そんでもって記念式典。一般客が写真撮れるスペースが非常にせまうが、1時間前から場所を確保。訓示の後は模擬戦闘の前に10式戦車と74式戦車と性能比較。まあ、40年世代差があるので、比較してもしょうがないと思うが、やっぱりスラロームとか圧倒的な性能差に観客は大喜びですよ。
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特に今日感じたのは、10式戦車って動いてる方が圧倒的にカッコイイのね。90式戦車は駐車しててもフォトジェニックなんだけど、10式戦車はそのサイズと形状から、個人的にはバックショットは90式戦車までの方がイイ。
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そんでもって、太鼓演奏や銃剣格闘などの後は10式戦車も参加して模擬戦闘。
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この後に観閲行進をして、式典は終了。
スペースはせまいながら、隊員さんたちがスキルをたくさん披露する、密度の濃い駐屯地開放でした。飲み会が続いてて、体調悪かったのですが、行った甲斐がありました。すべての隊員さんに感謝です。

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書評<現代の軍事戦略入門: 陸海空からサイバー、核、宇宙まで>

軍事戦略といえば、いまだに孔子やクラウセヴィッツが古典としてハバをきかせる分野だが、冷戦が終結し、新たな戦争と戦場が設定されつつある今、軍事戦略も当然のことながら変化しつつある。本書は軍事戦略の基本である古典を抑えつつ、冷戦時代の基本戦略と、それから変化しつつある現代の軍事戦略、ドクトリンを解説する。

冷戦の終結から民族紛争の頻発、9.11以後の対テロ戦争に至るまで約25年。”戦争”の変化と同時に、戦略も当然、変化してきた。当然、その間にはいくつかの大規模な紛争も発生しており、机上の戦略が覆されたものもある。本書はその戦略を軍隊組織の基本である陸海空から、サイバー空間から宇宙空間まで、軍事戦略の基本を解説している。ナポレオンの時代から通用する理論もあれば、当然のことながら宇宙空間など、あらたな戦略を構築しなければならない分野もある。本書は著者たちの経歴から、主にアメリカ軍の戦略の変化を中心に解説になるが、当然のことながら世界各国は世界最大の軍であるアメリカ4軍の戦略理論を比較参考にしながら、それぞれのドクトリンを構築することになる。現代の軍がどのような脅威を想定し、どのような装備を揃え、どのような訓練を重ねているのか。本書はそのことを推測する良い参考書となるだろう。

初版2015/03 芙蓉書房出版/ソフトカバー

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E-2C Completed

ハセガワ1/72グラマンE-2Cホークアイ、完成しました。
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グラマンE-2Cホークアイはアメリカ海軍の艦上早期警戒機。大型レーダーを搭載したロートドームが特徴で、艦船のレーダーでは限界のある遠方の低空覆域をカバーする空母機動部隊の”目”であり、早期警戒機なしではいかに強力な攻撃力を持つ正規空母といえど、現代戦では”大きな標的”にしか過ぎません。
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ハセガワのキットは2000年代中盤発売で、ディテールなど過不足なく再現されているベストキット。今回制作したのは2009年発売の限定版キットで、ホークアイ2000と呼ばれる進化バージョンから装備された8翔プロペラのパーツが新規セットされています。個人的には、この8翔プロペラがホークアイの魅力を5倍くらいにはしているのではないかと。
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今回はストレート組みではなく、ウルフパックデザインのレジンパーツを使って、主翼を折りたたんだ状態を再現しています。このレジンパーツ、キットの主翼をカットして根元に切断面を組み込み、レジンの主翼を接合する方式で、パーツ自体は精密なのですが、キットとの嵌合いは多少の加工が必要です。
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実機の写真を見てもイマイチ分かりにくいE-2Cの主翼折り畳み機構ですが、根元のジョイントと、垂直尾翼のアンテナに主翼から飛び出した”輪っか”を引っかけて支える仕組みになってます。垂直尾翼のアンテナの強度が不安なので、0.7㎜のピアノ線に交換しています。

その他の注意点として、本キットは非常にテールヘビーで大量のオモリを必要とするため、ノーズギアとメインギアにピアノ線を仕込んで強化しています。しかし、レジンの主翼は重く、機首いっぱいに詰め込んだ釣り用のがん玉でも足りなくて尻もちをつく事態に。クリアーパイプで支えをせざるをえませんでした。ちゃんと接地させるには、強度的に金属製の脚とタイヤパーツが必要なのではないでしょうか。
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塗装は厚木に駐留するCVW-5/VAW-115"LIBERTY BELLS"をチョイス。レドームいっぱいに描かれた聖杯が派手で見栄えしますね。デカールはシルクスクリーンの限定版で、軟化剤には強いのですが固いので、辛抱強く凹凸に馴染ませる忍耐が必要になります。

この完成品を5月16日から開催の静岡ホビーショーと同時開催の合同作品展に持ち込むつもりですが、突起物だらけで華奢なこのシロモノをどう航空便で運搬するか…今から眺めております。
スケジュールはタイトですが、そのホビーショーまでなんとかもう1機、いきます!

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E-2C Day7th

飯食ってデカール貼って、飯食ってデカール貼って、と久々にプラモ三昧の一日でした。
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塗装はお馴染み、ジョージ・ワシントンに配備されるCVW-5のVAW-115”Liberty Bells”をチョイス。レドームに派手な塗装を実施したCAG機です。
デカールはハセガワの限定版をそのまま使用。シルクスクリーン印刷ですが、デカールが経時変化か固く、慎重に扱わないとパリパリ割れる感じ。、強力なデカール軟化剤には強く、多用して密着させています。
2日ほど乾燥させてクリア吹いた後にコクピット回りのウィンドウのマスキングを剥がしたとき、果たしてうまくいっているか?ドキドキですな。

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E-2C Day6th

年明けから進めているハセガワ1/72E-2C、ようやくここまできました。
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胴体をシャドーを控えめに残しつつ、ホワイトを加えてやや明るめにしたC315ガルグレーを全面塗装。機首のレドームなどはあらかじめマスキングしておきます。
このキット、非常にテールヘビーで脚をつけたときに尻もちしないかが一番心配だったのですが、この時点では大丈夫みたい。ここにレジンのムクの主翼をとりつけるのでどうなることか…。
なんとかこの週末で目途つけて、SHSまでになんとかもう1機!

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書評<6度目の大絶滅>

地球の生物史において、これまでに5度の大絶滅があったことが研究の結果、明らかになってきた。その最新のものはもちろん、小惑星の衝突による恐竜の絶滅である。
そして今、地球上で6度目の大絶滅が進行中であるといわれる。それは気候変動でも、天変地異でもなく、人類の繁栄とそれに伴う生物の乱獲、自然破壊が原因だ。地質学者たちは地質的な新たな時代として「人新世」を唱えるほど、地球環境は激変している。科学ジャーナリストである著者は、現在進行形の大絶滅の現場を取材していく。

人類は生物としてはひ弱であるが、知恵を持つゆえ地球上で繁栄した。あらゆる大陸と諸島に進出し、地上を田畑や都市に作りかえ、今となっては気候まで変動させようとしている。
だが、その代償は大きい。全世界を短時間で移動する手段を持つがゆえ、局地的であるはずの生物の疾病を全世界に伝播し、二酸化炭素を過剰に排出して海洋の酸性度を変化させるなどして、数え切れないほどの生物を滅びに追いやった。著者はその現場を実際に訪ね、世界中で繰り広げられる絶滅をレポート、警鐘を鳴らす。
だが、地質学的な時間単位で考えると、個人的には多少の違和感を残す。植物はその誕生により酸素で地球を満たし、地球環境を劇的に変えた。その他にも、ある生物の繁栄が地球に劇的な変化をもたらす事例はいくつもある。意志があるかないのかは別の問題である。人間だけが”悪役”ではない。
人類は今の地球環境に特化し、進化してきた。適応している環境を”知恵”で維持するのか?現状の”繁栄”を続け、いずれくるであろう環境の激変に”知恵”で対応するべきか?そこまで踏み込んで考えるべきが到来しつつあるのかもしれない。

初版2015/03 NHK出版/ハードカバー

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書評<イラストでまなぶ! ロシア連邦軍>

クリミアの併合、ウクライナ内戦への非公式な関与など、何かと話題のロシア連邦軍。しかしながら、それに関する知識はソ連時代の「OMG(作戦機動軍)の戦車が平原に押し寄せる」イメージもしくはソ連崩壊後の「朽ちていく兵器たち」のイメージで止まっている人も多いのではなかろうか?本書は萌えイラストを挟み込みながら、ロシア連邦軍の組織、使用兵器、中心となるドクトリンなどを解説する入門書である。

ネットで軍事、世界情勢に関して論じる方々を総動員して提供する、ロシア連邦軍の入門書。萌えイラストはふんだんに掲載されているものの極めてまっとうな解説書であり、複雑怪奇なウクライナ情勢も含めて、ロシア軍事の全体像を把握するには最適である。なにせ経済情勢の推移と現状まで簡単ではあるが触れられており、偏りのない情勢分析には好感が持てる。
中東とともに世界のホットスポットであるヨーロッパ・ロシアから目が離せない昨今、本書はミリオタには必携の書である。

初版2015/03 ホビージャパン/ムック

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E-2C Day5thくらい

2月と3月は仕事が立て込んでたり、体調が悪くてモチベーションが上がらなかったので、なかなか進まなかったハセガワ1/72E-2C製作ですが、ようやく本格塗装までこぎ着けました。
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今回は折り畳み主翼がいわばハイライトなので、ウルフパックデザインのレジンコンバージョンキットを使用しています。
このレジンパーツ、一見良さげでピタリと合いそうなんですが、フラップの溝とフラップレールがずれてたりして、意外に苦労します。その他トラブルとして、フラップレールが折れたり、フラップレールが折れたり(笑)。
ハセガワのキットの胴体部分も、以前製作した時はパチピタだった気がするんですが、仮組み不足か、パテと黒瞬着を多用しました。
さて、ようやく春が来て暖かくなってきましたので、ペース上げてきます!

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書評<よくもわるくも、新型車 『福野礼一郎のクルマ論評 2』>

「モーターファン・イラストレイテッド」に連載されている著者の新車試乗記事をまとめたもの。主には輸入車が多いが、なかには2tトラックの試乗などもありバラエティは豊富。また、本誌特集内の著者の記事もはさみ込まれており、自動車を構成する部品や素材に詳しい著者ならではの記事と技術論が展開される。

世に出ている自動車評論家のなかでは、機械構造や部品を構成する素材にまで言及して自動車の出来不出来を評論する著者は、別格の存在だと思う。他誌で自虐的に「我々、自動車評論家三軍は~」と書いており、自動車誌の世界もヒエラルキーがあって、新車試乗も最後にまわってくる立場らしいが、著者の評論がメーカーにとって耳の痛いところをついている証左であろう。
昨年発売した「クルマ論評1」では著者の評論も甘口になったものだと感じたのだが、本書ではその切れ味は戻っているようだ。EVの開発、発売が手放しで賞賛される業界にあって「今のEVは役立たず」と切って捨てる価値観には大いに同意する。もっと活躍の場を広げてほしいものだ。

初版2015/03 三栄書房/ムック

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