書評<現代の軍事戦略入門: 陸海空からサイバー、核、宇宙まで>
軍事戦略といえば、いまだに孔子やクラウセヴィッツが古典としてハバをきかせる分野だが、冷戦が終結し、新たな戦争と戦場が設定されつつある今、軍事戦略も当然のことながら変化しつつある。本書は軍事戦略の基本である古典を抑えつつ、冷戦時代の基本戦略と、それから変化しつつある現代の軍事戦略、ドクトリンを解説する。
冷戦の終結から民族紛争の頻発、9.11以後の対テロ戦争に至るまで約25年。”戦争”の変化と同時に、戦略も当然、変化してきた。当然、その間にはいくつかの大規模な紛争も発生しており、机上の戦略が覆されたものもある。本書はその戦略を軍隊組織の基本である陸海空から、サイバー空間から宇宙空間まで、軍事戦略の基本を解説している。ナポレオンの時代から通用する理論もあれば、当然のことながら宇宙空間など、あらたな戦略を構築しなければならない分野もある。本書は著者たちの経歴から、主にアメリカ軍の戦略の変化を中心に解説になるが、当然のことながら世界各国は世界最大の軍であるアメリカ4軍の戦略理論を比較参考にしながら、それぞれのドクトリンを構築することになる。現代の軍がどのような脅威を想定し、どのような装備を揃え、どのような訓練を重ねているのか。本書はそのことを推測する良い参考書となるだろう。
初版2015/03 芙蓉書房出版/ソフトカバー
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