書評<GARM WARS 白銀の審問艦>
異星から脅威に対抗するために自らの体を棄て脳殻だけとなり、記憶の転送を繰り返しながらなお、敵と戦い続ける人類。その過酷な戦場で、異端審問官である主人公は何を目撃するのか?戦闘するために行き、転生する過酷な世界を描いたSF。
押井守カントクがもう四半世紀も温めてきた(一度はボツになったともいう)SF超大作、「GARM WARS」のサイド・ストーリーが本書である。多分。というのも、肝心の映像作品がまだ公開にいないのでそう推測するしかないのである。
それはともかく、押井守が書く小説としては、それこそ本書は異端の地位にあると思う。カントクの小説といえば、本編に関係ないウンチクを延々と語ったり、それでいて微妙な感情の機微は吹っ飛ばすわで、独特のものがあったのだが、本書の場合はムダは極力省かれていると思われる。評価としては「GARM WARS」の公開を待ってそれと一体でするのが正解であろうが、本書で、カントクの作風の変化が確かに感じられるのも確か。押井守信者は公開前の必読本としてぜひ。
初版2015/04 KADOKAWA/エンターブレイン/ハードカバー
« 書評<火星の人> | Main | 書評<マリファナも銃もバカもOKの国 言霊USA2015> »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 書評<ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く>(2022.08.28)
- 書評<バルサ・コンプレックス “ドリームチーム”&”FCメッシ”までの栄光と凋落>(2022.05.25)
- 書評<冷蔵と人間の歴史>(2022.05.24)
- 書評<ザ・コーポレーション>(2022.05.23)
- 書評<狩りの思考法>(2022.04.19)
The comments to this entry are closed.
Comments