書評<マリファナも銃もバカもOKの国 言霊USA2015>
週刊文春に掲載中の、ニュースからは分からないアメリカの”いま”を伝えるエッセイ。著者はややリベラルよりの映画評論家だが、アメリカでブームとなっている単語をキーワードに、アメリカという国がどのように変化しつつあるのかを、笑いと皮肉で綴っていく。
いかにABCあたりの海外ニュースを視聴しようとも、アメリカの家庭や地域社会で起きていること、ちょっとしたブーム、有名人の発言などは、なかなか日本にいては捉えにくい。著者はある意味軽い文章でありながらも、変わりつつあるアメリカを海外に疎い日本人に伝えている。なくならない人種や性別による差別、極端から極端へふれる世論の同行。多様化する社会に追いつけない、二大政党主義。清廉潔癖だったオバマ大統領とその夫人さえ、知らずに大企業の思惑に巻き込まれていく、行き過ぎた資本主義。さっと読み進められるが、重要な疑問を提示してくる、そんなエッセイの数々である。
初版2015/04 文藝春秋/kindle版
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