書評<未完の計画機 (命をかけて歴史をつくった影の航空機たち)>
第二次世界大戦後、科学技術の発達と、東西冷戦下での米ソの軍拡競争により、数多くの航空機開発計画が作成された。実際に飛行し、軍が運用した機体の影には、ペーパープランで終わったもの、モックアップまで製作されたが開発中止されたもの、試験機は飛行したものの計画が打ち切られたものなど、数多くの未完機が存在する。本書は月間誌に連載されたそれら未完機を紹介するコラムを加筆修正し、まとめたものである。
本書の表紙にあるXB-70バルキリーを筆頭に、二次大戦後から70年代初頭までは、航空機が大きな技術的飛躍を遂げた時代であった。それゆえ、航空機の性能要求をする軍も、実際に機体を開発するメーカーもどこに技術的限界があるのかわからない時代であり、現代の目からみれば過大な性能が要求された時代であった。航空機開発が”冒険”であった最後の時代の航空機たちを紹介するのが本書であり、個性豊かな航空機が紹介される。また、その開発計画の内情を知れば当時の世界情勢も透けてみえる。専門用語の多用もなく、バランスの良い、未完機の”カタログ”といえよう。
初版2015/04 イカロス出版/ソフトカバー
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