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2015.06.07

書評<毒殺―暗殺国家ロシアの真実>

帝政ロシアからボルシェビキによる革命によるソ連の成立時、不安定であった革命政府を維持するために、レーニンはじめとする共産党の幹部たちはしばしば、政敵や政府にとって邪魔になる人物を”毒殺”することを選択した。それはソ連が解体し、ロシア連邦に国家体制が変わった今でも変わらない。本書はロシアのときの最高権力者による”毒殺”を調査研究し、ロシアの歴史の暗部をあぶり出す。

本書を読むにあたってのハードルは、注釈付きで登場する、多くのロシアの歴史上の人物たちを把握することだろう。もっとも、その人物たちの多くは”毒殺”されてしまうわけだが。
それはともかく、本書はロシアの近代史がいかに暗殺によっていろどられてきたかを描きだすノンフィクションである。スターリンによる粛清は、世界史の中でよく知られるところだが、権力者たちの争いのなかで、簡単に処刑やシベリア送りに出来ない場面も出てくる。そこで最高権力者たちが選んだのが”毒殺”であった。自然死を装うため、殺人の証拠を残さぬため、多くの人物が毒殺された。”毒殺”を極めるため、KGB内外の建物で、放射性物質を含む多くの毒物や、それを人体へ注入する方法が研究された。毒殺を用いるのは、権力争いだけではない。ジャーナリストや”足を洗った”工作員など、政権にとって邪魔な人物を排除することを、レーニン以来、ロシアの権力者たちは躊躇しなかった。それはプーチンの時代になっても変わらない。著者もロシアのジャーナリストであるが、友人たちの多くを失っている。
”邪魔者には死を”という手段をとっていない歴史上の権力者など、おそらく一人もいないだろう。だが、ロシアのそれはあまりに被害者が多く、現代に続いていることも特殊である。本書はそれを強く感じさせる。

初版2014/08 柏書房/ハードカバー

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