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書評<美森まんじゃしろのサオリさん>

某県の山間にある美森町は、美森さまという神さまと、それを祀る卍社を戴く、限界集落寸前の小さな町だ。死んだ叔母の家を維持するために移住し、便利屋を営む岩室猛志と、地元出身の女子大生・貫行詐織は、町役場からの依頼を受けて、町内の小さな事件を解決する”探偵”ユニットを組んでいる。小さな村の言い伝えを下敷きにした謎解きと、限界集落を維持するために今後生み出されるであろうロボット技術を組み合わせた、SFミステリー連作。

過疎と限界集落、それをなんとか解決しないまでも維持させるための移住とテクノロジー。本書は根底に日本の抱える難題を置いて、それに民俗学を積み重ね、のんびりしたミステリーを成立させている。それには、もちろん登場人物も重要だ。よそ者でありながら、不器用ながら、地元に受け入れつつある猛志と、つかみどころのない美人で、その容姿を利用しようとして生きていこうとするが、うまくいかない詐織。話が進むごとに、2人の関係は変化していく。簡単に恋愛模様に進まないのも、また一興だ。
良質なミステリーであると同時に、”滅びつつある集落”の未来が捨てたもんじゃない、と感じさせる作品であった。果たして、日本の人口減少と高齢化に、作者の提示するテクノロジーが解決策をもたらすか?オーバーにいえば、それを見届けたくなるSFだ。

初版2015/06 光文社/kindle版

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