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書評<サッカーFW陣形戦術クロニクル 最前線のユニット進化論>

第2次大戦より少し前、現代のサッカーが現代のサッカーたるゆえんにオフサイド・ルールが確立された以後、サッカーにおけるフォワードの陣形と戦術はいかに変化してきたか。それはフォワードの人数の変化とも重なる。本書は戦術解説に優れた著者による、フォワード戦術論と歴史をまとめたものである。

自分も30年前は少年サッカープレイヤーだったが、中学、高校と上がるにつれてのフォーメーションの変化は「ミッドフィルダーの人数が増えた」という視点しかなかった。しかし、それは逆にフォワードの人数が減ったということであり、単純にいえば前線の人数が減って得点力が下がり、点が入らない、面白くないサッカーが展開されることになる。しかしサッカーはそんなに単純なものではない。守備と攻撃のせめぎ合いが陣形の変化を生み出し、戦術を進化させた結果が究極の”ゼロトップ”なのだ。結果的に、サッカーが退屈なものにはならなかった。
本書は難解になり過ぎず、具体例を出しながら、その歴史を描き出す。これを機会に、ラックの奥にしまった、御ひいきチームのDVDを取り出して、現代のサッカーと何が違うのか、実感するのも面白い。もっとサッカーを勉強しよう、そんな気にさせてくれる本だ。

初版2015/08 カンゼン/ソフトカバー

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書評<福野 礼一郎 人とものの讃歌>

自動車評論家、福野礼一郎紙が雑誌「ゲンロク」にて連載しているコラムをまとめたもの。日本の歴史的な建築物、ミリタリーに関わるモノ・ヒト・土地、庶民が目にすることも少ない家電や楽器の逸品などを取材し、グラビアとともに解説する。

氏の著作には、モノを作る人への尊敬が伝わる。自動車評論にしても、企業そのものをクサすことはあっても、実際の自動車の生産に関わる人々への批判はない。本書は氏が自動車以外に興味をもったものを紹介する。それは、IKEAで家具を揃え、大型家電店で買い物をし、マルイのエアガンでサバイバルゲームをする、庶民の日常を超えたところにあるモノだ。官僚や政治家が口にする軽すぎるまでの”モノづくり”とは一線をひくモノがそこに存在し、それがどのような価値観をもって製作されるのかを追う。共通するのは先ほど述べた著者の”尊敬をこめた視線”だ。進駐軍がいたころの東京を知り、技術解説にも秀でた著者の知識がそれを後押しする。グラビアを眺めているだけでも勉強になる。

それと、本書は電子書籍版もありますが、ワイド判のグラビアでないと対象物の持つ”力”が伝わらないと思うので、書籍版がおススメです。

初版2015/09 三栄書房/A4ワイド版

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書評<ゾンビ日記2>

人々がゾンビ化し、さまよう街で、彼彼女らを38口径のチーフス・スペシャルで、ひたすらゾンビを屠ることを繰り返す女がいた。その儀式めいた射撃にはいかなる理由があるのか?始まりも終わりもない、ゾンビが日常となった世界の日記。

押井守カントクが書く、ゾンビ物語の第2弾。といって、確たるストーリーがあるわけでもなく、ただひたすら繰り返される儀式と、それにまつわる哲学問答が繰り返される、押井守スタイルとしか言いようがないフィクションである。世界観やその説明もあったものではない。まあそれは彼の文体だ、といえばそれまでであるが…例によって、押井守信者にしかおススメしない作品である。

初版2015/08 角川春樹事務所/ソフトカバー

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書評<石油の帝国>

現代の社会における血液たる石油を採掘、流通させる石油関連企業は何かにつけて評判が悪い。大規模な原油流出事故で環境汚染を引き起こし、戦争となれば利権のために政府と動きをともにし、発展途上国から富を搾取する。1920年代の世界恐慌以後、合併に次ぐ合併を重ね、下手な国家などよりも大きな予算規模を持つ巨大企業となればなおさらだ。しかし、その実態は果たしてイメージどおりのものなのか?アメリカの巨大石油企業、エクソンモービルの歴史を、アラスカ沖原油流出事故以後から丹念に追い、その実態を暴き出す骨太なノンフィクション。

本書は、中心にエクソンモービルの2人の社長を据え、巨大石油企業がどんな方針のもとで動き、何を成し、何をしなかったか、丹念に追うことにより、一般的なイメージとは違う巨大企業の姿を描き出すことに成功している。
本書を読んで強烈に印象に残るのは、我々が考えるよりもずっと、エクソンモービルは純粋な営利企業であり、自らが定めたルールの下で動く企業であること。もちろんアメリカ議会でのロビー活動は活発に行うが、意外なことに政府の方針と会社の方針はズレが大きい。国益と、企業の利益は異なるのだ。エクソンが第一に考えるのは「埋蔵量リプレース」という、自社が抱える可能な石油採掘量を毎年維持させることにより、会社の価値を維持し、存続させることにある。
だからといって、油田確保のために発展途上国の支援はしても、賄賂をはらい、ときの政府とねんごろになるなどありえないことも、我々が抱くイメージと違うことの1つであろう。第2次大戦以後、中東諸国をはじめとして、資源ナショナリズムの高まりから、エクソンは大きな傷を負っており、過剰に現地政府に関わることはしない。ここでも求めるのは、従業員の安全と、利益の確保である。それがどのくらい徹底しているかといえば、石油の利益を独占しようとしたベネズエラのチャベス大統領から、巧みな銀行預金の操作で巨額の現金を奪い取ったことに象徴されている。
アメリカ、しいては世界を支配している帝国が重視するものを、偏見にとらわれることなく、見事に描き出したノンフィクションである。

初版2014/12 ダイヤモンド社/kindle版

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Platz1/72F-15J Day3rd

ああ、奇跡の連休が終わっていく。
それはともかく、プラッツのF-15Jを続けますよ。
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脚などの小物をランナーから切り出し、塗装。キットはAAM-4、AAM-3が付属していて、コクピットの計器盤の彫刻含めて、いわゆるMSIP機の製作を前提にしたキットですね。本当ならAAM-5が付属していてもよさそなうなもんですが、F-15Jの各ロットや改修機の現在の装備部隊を把握するのは大変なので、このあたりが無難なアクセサリーですかね。
パーツで問題があるのは主翼下のタンクで、彫刻がおおげさ過ぎるかとも思うので、ハセガワさんからもってくるか検討中。それと、スタビライザーはいかにも破損しそうな細い棒状のダボで接着するようになっているので、0.8㎜の真鍮線に交換しています。
しかし、今回の連休はいろんな意味でだらけてたなあ。日常に戻るのたいへんそうだ。


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Platz1/72F-15J Day2nd

なんかここのところ、金遣いが荒すぎる。ボーナスまで財政が持つか?
それはともかく、連休中はF-15Jに集中。
といっても、時間のわりに進んでませんが。
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ご存知のとおり、F-15Jは地上で電源抜いてても、ギアドアは一部閉まっているのがデフォなので、プラ板で簡単な支えを作って、脚収納庫に落ちないように接着。
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んで、主翼とエアインティークを接着。ハセガワに限らず、主翼の接着線の処理はイーグルのキットの鬼門の1つ。プラッツは主翼を実機のパネルラインに合わせて成型、ハメ込むことによって凹モールドとして処理しています。ここはよく練ってあります。ただし、少しすき間は開くので、瞬着を流し込んでガッチリ組んでます。
このように、プラッツのF-15Jは非常にユーザーフレンドリーですが、アイリス板がないダイバージェントノズルだけはどうしようもなかったみたいで、2つ合わせて42パーツで構成。ノズルを1つ組むのに1時間かかってます。
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確か振動で脱落するので、アイリス板外したまま運用して30年以上。そんな設計したP&Wの技術者を恨みますよ、ぼかぁ(笑)。

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Platz1/72F-15J Day1st

アカデミーのF-4Jは完成してるのですが、撮影ブース引っ張り出すのがメンドイので、とりあえず次はコレ始めます。
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プラッツの1/72のF-15Jイーグルです。前作の三菱F-1が発売予定が1年あまりも遅れたため、「どうせまた」とみんなが思っていたところ、予定通りに発売されたので、ワタシもプラッツの本社に向かって土下座した次第です。
それはともかく、製作開始。

全体的にディテールは細かいのですが、やや簡易っぽい甘いモールド。コクピット付近はハセガワと同じ分割ですが、胴体から後ろはなるべくサンディングの必要がないように配慮されてます。
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インティークからのエアの流路のパーツが臓物と胴体各パーツの真になり、胴体は上下左右を接着する形。ただし、瞬着で一発接着というよりはパーツを合わせて流し込み系接着剤で合着させる感じです。なので、補助テープは多め。
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どうしてもハセガワのキットと比べてしまいますが、バルカン砲口が胴体から別パーツになってたり、いろいろと考えてありますので、せっかくのモールドが消えるところは少なそう。自分の場合、凹モールドの彫り直しが一番苦手な作業なので、大歓迎のパーツ割です。
さて、連休中にどこまでいけるか。

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Academy1/72 F-4J Day2nd

昨今の大災害でのブラックホークの活躍を受けて、モデラーさんの間で、H-60シリーズの新作を望む声が多くなりつつある今日この頃。
こちらは引き続き、アカデミーのF-4J。
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パーツの合わせ目は均す程度にヤスるだけでOK。ECMアンテナ用のダボ穴を瞬着で埋めた周辺をサンディングしたら、塗装へサクッと進めます。
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シッポの金属色の露出部分が別パーツなので、ハセガワのファントムで意外とやっかいなサンディング部分も省略できるし、胴体を縦半分に割ってないので、接着ヒケの心配もせず、サクサクと塗装と乾燥、マスキングを繰り返しながら、全体塗装を済ませることが出来ます。
自分はどっちかというと塗装とデカール貼りが大好きなタイプなので、まさにオレ向けのキット。やるなあ、アカデミー。昨日からそればっかり言ってる気がしますが。

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Academy1/72 F-4J Day1st

北海道モデラーズエキシビジョン2015にて、メンバー諸氏と各卓を回ってるときの会話。
オレ「どっかにアカデミーのF-4Jの作品ないかなー。」
師匠「自分で作ればいいじゃん。新商品サクッと作ってレポートするのがキミの芸風じゃん」
みたいなことがありまして、そう、1/72の新商品出たら、積まずにサッと作って、ブログ上げるのがオレの仕事みたいなもんでした。なので、HME2015からちょっと時間開きましたが、アカデミーの1/72F-4Jを製作開始。
まず驚くのがこの胴体パーツ。
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ハセガワの1/72だったら、胴体の4パーツ接着して、サンディングして凹彫りを復活させるだけで1日がかりですが…
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3時間でここまで出来ます。
このアカデミーのキット、ガンプラで見受けられる、やや軟質のイロプラを使用してるランナーのパーツが混じってて、組み立てるだけならほぼ接着剤なしで組める精度です。エアインティークと垂直尾翼にややスキマが生じるくらいで、少量の瞬着をパテ代わりに使用すれば、後は最低限のサンディングでこと足ります。
難点はF-4Sへのバリエーションを考えてのことか、エアインティーク脇のECMアンテナロッドの接着用の穴が開いているのですが、埋める指示がないことでしょうか。
ともあれ、このキット内容には感心しました。若年層用に水転写じゃないステッカーも付属してて、子供が手軽に完成品を手にできるし、それなりの中・上級者はちょっと手を入れて塗装で差をつけることができる。今後も新たな挑戦に期待なのですが、いまだアカデミーは正規の代理店が決まってない模様。早く安定供給が出来るようになればいいのですが。


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書評<ホワット・イフ?――野球のボールを光速で投げたらどうなるか>

人類総がかりでレーザーポインターで照らしたら月の光は変わる?お茶を必死にかき回したら沸騰させられるかな?どのくらい高い空から落とせば、その熱でステーキが焼けますか?元素周期表を現物の元素のキューブを積んで作ったら何が起こる?ちょっと知恵のついた理系志向の子供が思いついたような思いつきも、元NASAの研究者が物理と数学を駆使して計算すれば、ちゃんと解答がでる!アメリカの人気のマンガ科学解説サイトを書籍化したものの邦訳版。

まずもって、解答者によせられる質問が面白い。物理学の限界に挑戦させようとする突拍子もない質問もいいし、質問&解答の間に挟まれる「著者によせられた、ちょっとコワい質問」も、本題におとらず面白い。
とはいえ、やはり本書の焦眉は著者のマジメな解答だろう。身近な物理学的な作用を、地球規模、宇宙規模におきかえるとどうなるか?たいていはオチは人類滅亡だったりするのだが(笑)。マジメさとユーモアのバランスが取れていて、なおかつ物理が学べる良書である。

初版2015/07 早川書房/kidle版


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