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書評<ネアンデルタール人は私たちと交配した>

本書はDNA解析の創始者の一人であるスヴァンテ・ペーボ博士の自伝である。そして、DNA解析技術の発展を追うノンフィクションであり、人類起源の謎を追うサイエンス書でもある。博士はわずかな骨の断片からDNAを取り出し、増幅させ、シーケンサーで解析することにより、人類の起源を探り、人類の拡散期の謎の一つである「ホモ・サピエンスとホモ・ネアンデルタールの関係」を解き明かす。本書は、博士の並々ならぬ苦悩と、そして華々しい成功を綴っていく。

いまでこそDNA解析は学術研究の分野ではポピュラーなものになりつつあるが、その創始期には並々ならぬ苦労があった。不安定な物質であるデオキシリボ核酸を古い骨から取り出す技術、ヒトやその他動物のDNAの混入、時間がかかるシーケンサー。それらの技術研究を確立した一人がペーボ博士であり、本書でも多くの記述がそこに割かれる。表題であるネアンデルタールと我々人類の関係は、本書の一部に過ぎないと言ったら言い過ぎだろうか?だが、博士の確立したDNA解析技術がなければ、他の生物学の研究分野の進展も、遅々としたものになったに違いない。それくらいの苦節を感じさせるのだ。そこにはもちろん、解析機器の会社との協力や、同じ分野の科学者との競争も含まれる。
DNA解析の苦闘の歴史書として、貴重な自伝だ。


初版2015/06 文藝春秋/ハードカバー

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