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書評<反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―>

最近、「反知性主義」を掲げた書籍やネット記事を多く見かける。多くは教養を積み重ねた知性よりも、感情を優先する近年の社会的傾向を批判するものだ。だが、アメリカで生まれた本来の反知性主義はまったく異なるものである。キリスト教と深く結びつき、権威に反抗する本来の反知性主義を、その歴史とともに解説する。

アメリカではいかにも知性を感じさせる政治家よりも、頭が抜群に良さそうにはみえないが、親しみを感じさせる政治家を大統領に選ぶ。ブッシュ(子)元大統領がそうだ。かように、アメリカではインテリへの嫌悪感がいまなお残る。そこには、アメリカに上陸して以来の、長いキリスト教のリバイバルの歴史があった。国教会の権威から逃れるためにアメリカに渡ったはずが、教育制度が整うに従って、いつの間にか植民地に根付いた地域の教会と牧師が権威となる。それに対抗するように、いくども本来の宗教の役割を果たそうとする、キリスト教のリバイバル運動が起こる。その積み重ねが、極端に大規模なチャーチ、連邦政府とそれを運営する知識層を嫌う大衆を生み出すのだ。反知性主義は本来、アメリカとプロテスタントの歴史そのものと深く結びついたものだ。本書を読めば、反知性主義なる言葉は日本で軽く使う言葉ではないことが理解できるだろう。

初版2015/02 新潮社/kindle版

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