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書評<東欧革命1989―ソ連帝国の崩壊>


1989年は間違いなく歴史が動いた年であった。言うまでもなく、東欧諸国がソ連のくびきから解放されたのである。ソ連も東欧革命をきっかけとして、やがて崩壊に向かうことになる。ワルシャワで、ベルリンで、ブタペストで何が起きていたのか。ソ連のどのような変化が東欧に革命を促したのか?当時の政府側の人物たち、革命側の人物を通して、革命の全体像を鮮やかに描き出す。

1989年はの東欧革命はすでに多くの物語が語られていたが、本書を読むとまだまだ知らないことがある。例えば、東欧諸国の指導者を追い詰めた事案の1つが、西欧各国の銀行が貸し付けた債務の焦げつきだ。東ドイツも、ポーランドも債務の返済のため、民衆の怒りを鎮めるための行政サービスの向上のために国家予算をつぎ込むことが1980年代にはできなくなっていた。帝国の領主であるソ連に支援を求めても、そのソ連もすでに経済的疲弊は限界にきていたのである。
本書はこのような経済的側面をはじめとして、東欧革命が起きた10年くらい前からの状況を詳細に説明しながら、革命に至った経緯を追っていく。”東欧革命”と一口にいうが、その状況は様々である。その底流に共通するものを本書は明かしていく。
重厚な本だが、あっという間に読み進んでしまう東欧革命関連本の決定版だ。

初版2009/11 白水社/ハードカバー

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MiG-29 «9.12» Completed

トランぺッター1/72MiG-29 «9.12»フルクラムA、完成しました。
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Mig-29はロシア空軍に1983年から実戦配備された戦闘機。機動性を重視したアメリカの第四世代戦闘機に大きく影響を受け、LERXの採用や胴体で揚力を発生するデザインなど、従来のロシア製戦闘機のイメージを大きく覆した機体です。新世代のIR誘導ミサイルのキル・ゾーンが欧米の同格の戦闘機より広いことが話題になるなど、大きな注目を集めました。しかしながら、小柄な機体は少ない燃料搭載量や、発展性が制限されることなどから、同世代のSu-27に採用機数では大きく差をつけられています。
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トランぺッター1/72のキットは今年11月発売のニューキット。もっとも初期型でベーシックな≪9.12≫をモデル化。リベット表現多めの中華スタンダードで、インティークが閉状態(機体上面のルーバーはオープン)でパーツが構成されています。スタイルもパーツの嵌合も問題なく、サクサク組めます。特徴的な機体牽引用のトー・バーも付属。
問題になりそうなのは脚が細く、折れそうなこと。特に前脚は二分割なので、ピアノ線を入れて補強しています。また、スタビレーターも接着用突起が短く破損が心配なので、こちらも金属線に交換しています。
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塗装はハンガリー空軍の所属僟を再現。残念ながら、稼働率の悪さからすでに現役引退しています。上面がクレオスのC337、下面がC308のカウンターシェイド・パターン。後継のサーブ・グリペンの迷彩と一緒ですね。ブラックサーフェサー吹いて黒立ち上げとしましたが、ややベタ塗り過ぎました。ちょっと反省。
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1/72のMig-29のキットは数あれど、多くは冷戦末期にリサーチ不足のまま発売されたキットなので、どれも不満が残るもので、今回のキットは定番になる良キットです。Mig-29の発展型はハンプバックの大きさが異なり、バリエーション展開が難しそうですが、最新バージョンのキット化まで期待したいところです。
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ともにTsAGI(中央流体力学研究所)の研究結果を取り入れたため、機体の構成要素は似ているものの、機体の大きさが決定的に異なるSu-27とMig-29の両機。単純なハイ・ローミックスではなく、前線航空軍と防空軍という使用部隊の違いがその差を生み出しました。案外と両機が並んでいる写真は少なく、こういう比較を楽しめるのもプラモデルのいいところですね。
さて、次いってみよう。

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Su-24MR Completed

スケールエヴィエーションの1/72しばりのコンベンションの大賞が発表されました。カラーページ掲載のtoyさんはじめ、テクニックの素晴らしさはもちろん、スケールやキットを制限されてても、ここまでバリエーションに富む作品が集まるのかというのが初見の感想。「良キットをできる限り生産」を信条にしてるので、皆さんの発想力に脱帽です。
そんなことを思いながら、完成したトランぺッターの1/72Su-24MRを撮影してました。
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スホーイSu-24フェンサーは大きなレドームとVG翼が特徴の大型攻撃機です。F-111と似た機体構成要素から分かるとおり、地形追従飛行による低空侵攻を目的として開発されました。1970年代の配備ですが、2015年現在も貴重な攻撃機として現役として維持されており、シリアへの航空攻撃中にトルコの領空を侵犯したとして撃墜されたことでも注目されました。
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Su-24MRフェンサーEと呼称される本機はサイドルッキングレーダーやカメラを搭載した偵察型で、偵察型との並行開発はソ連機によくあるパターンです。
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トランぺッターの1/72キットは10月発売の新金型キット。1/72のこのクラスのキットとしては¥7,000を超える高価なキットで中国の賃金上昇や為替レートの変化など、世界の経済情勢をよく反映したキットでもあります。少なくとも価格競争力では、日本メーカーは優位を取り戻せるのではないでしょうか?
機体はリベット表現多めの中華スタンダード?で、ディテールも満足できる出来。組み立てもパチピタとはいきませんが、慎重に仮組みすればパテ要らずです。VG翼は主翼が後退状態なら後から差し込みできますが、前進状態では後からの差し込みは不可能、だと思います。
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塗装はロシア空軍の現役部隊のものを再現。上面C35明灰白色、下面C316グロスホワイトの指定。ですが、C316のクリーム色っぽいホワイトはイメージと違うので、シャドーを吹いた後にフラットホワイトを吹いています。グレーとホワイトの境目は、キット付属の塗装図はいまいち信用ならないので、「世界の傑作機」を参考にしています。
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キットの付属デカールはデカールソフターで溶けてしまうほど薄いので、万一のことを考えると、ベグモットの別売デカールを手に入れておいた方が安心かと。ただし、ジャーマンホビードラの在庫はワタシが買い取りました(笑)。
キット価格を押し上げているのが豊富な搭載ウェポンのパーツなのですが、偵察型ということで搭載させませんでした。捨てたわけではないですが、もったいないなあ。


連綿と受け継がれるスホーイ設計局の系譜を手軽に楽しめるのも、1/72のお楽しみの1つ。次もトラぺの新作、いきます。
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