« 書評<アトランティスへの旅 -失われた大陸を求めて-> | Main | 書評<あの日> »

2016.01.03

書評<世界の終わりの七日間>

地球へ小惑星が激突することが判明し、社会が崩壊しつつある中で、自分の正義を貫く刑事の姿を描くミステリー、第3弾にして最終回。
前作で主人公は警官仲間たちが最期の時を過ごすカントリーハウスに身を寄せたが、行方不明となった妹の捜索に出かける。そこで出会う、異常な状況、奇妙な人たち。小惑星衝突が迫る中で、主人公は矜持を保ち続けることができるか?

警察組織も既になくなり、事実上社会が崩壊している世界。以前の世界の価値観を保ったまま、捜査を続ける元刑事の方が、狂気に満ちているのではないかと疑いたくなるような状況。そこでも結局、犯罪は犯罪であり、悪人は悪人であることを、見事に描き出した作品だ。今作では、異常な状況の中で、守らなければならない家族を抱える人間の困難もまた印象的だ。パニック小説と、犯罪捜査ミステリーの奇妙な融合に成功している、そんな小説である。

初版2015/12 早川書房/ハヤカワミステリ

« 書評<アトランティスへの旅 -失われた大陸を求めて-> | Main | 書評<あの日> »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 書評<世界の終わりの七日間>:

« 書評<アトランティスへの旅 -失われた大陸を求めて-> | Main | 書評<あの日> »

My Photo
August 2022
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

Twitter


無料ブログはココログ