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2016.02.28

F-106A Day1st

静岡ホビーショークラブ合同作品展まであと2か月あまり…なんですが、辛抱たまらず、新商品に手をつけてしまいました。
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MENG Modelの1/72コンベアF-106Aデルタダート。大好きなデルタ翼機で、待ちわびた新商品です。ハセガワの定番品はもはや化石のような凸モールドのモナカキット。それを掘り直して逸品に仕上げる達人もいらっしゃいますが、ワタクシにはとても無理。発売のお知らせに興奮し、市価¥6,000前後のキットにも関わらず、4つも積んでしまいましたよ。

キットはもちろん凹モールド、AIM-4ファルコンを4基積むウェポンベイほか、機首のレドームと電子部品へのアクセスドア内部も再現されていて開閉選択式。戦闘機史上、最大威力のAAMであるAIM-2ジニーは運搬用ドリーとともにセットされており、至れり尽くせりのキットです。

さっそく、コクピットあたりから手をつけましょう。
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エアインティークから続くダクト、コクピット、ジェットエンジンあたりが胴体パーツを張り合わせる前の下ごしらえとなります。ダクトの突き出しピンの処理が面倒なくらいで、ここまでは説明書どおりに塗り分ければ、まったく問題なし。
SHS2016出展予定のフォークランド紛争ネタと並行して進めていきます。

2016.02.23

JAS-39C Gripen Completed

ドイツレベル1/72サーブJAS-39グリペン、完成しました。
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サーブ・グリペンはスウェーデンの国産主力戦闘機。スウェーデンはW.WⅡ以後、武装中立国という政治的条件から主力戦闘機の国産化にこだわり、また地政学的条件からSTOLが可能な多任務をこなす比較的小型な戦闘機を求めたことから、ダブルデルタのドラケンや、カナードを採用したビゲンなど、特異な戦闘機を生み出してきました。ドラケンはその系譜に連なる新鋭機で、クローズカップルド・デルタという開発当時の最新モードだった主翼形態を採用。小柄な機体ながら兵器搭載量が大きなマルチロール・ファイターとなっています。
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キットはドイツレベルが2015年に発売した新金型キット。冷戦前後に開発された軍用機は、予算削減から試作機の期間が長く、その段階でキット化されるため、量産型が生産されるころにはかなり外見が変化し、どのキットも実際に配備されてる機体とやや異なるという、微妙な状態が長く続きました。しかし、ハセガワからユーロファイター・タイフーン、レベルから本キット発売と、ユーロ・カナードと呼ばれる新世代機も、ようやく量産型のキットが揃いつつあります(1/72の話です)。
このキットの発売も非常にありがたいものの、出来はちょっと微妙。複座型とのコンバーチブルを想定されているため、胴体はコクピットの後ろで分断され、主翼部分とともに嵌合が悪く、パテが必要。スジ彫りも運河彫りで、ギアドアやストレーキパーツも分厚い。今回はストレートで組みましたが、最近の中華製キットのレベルにしようとすると、かなりの改修が必要でしょう。
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塗装はチェコ空軍の211sq、2014年のタイガーミート僟をチョイス。下面クレオスC308、上面C337のカウンターシェイド。黒立ち上げして、複合材の一枚板の主翼部分などが単調にならないようにグラデーションつけてます。骸骨が描かれているカナードと垂直尾翼の大面積のデカールは、やや固めなもののデカールフィッターがよく効き、大面積でもピタリと貼れます。
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昨年秋ぐらいからずっと出来のいい新商品作り続けているせいか、キットレビューはやや辛口なものになってしまいました。そろそろ静岡ホビーショーへ向けてのネタに取り掛からないといけないこともあって、完成を急いだのも影響し、荒い出来になったのも反省点。複座型でリベンジですかね。
さて、次いってみよう。
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2016.02.22

書評<ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた>

ホモサピエンスがアフリカからユーラシア大陸に進出する以前、繁栄を誇っていたもう一つに人類、ネアンデルタール人。彼らが滅んだ理由は遺跡や化石の発掘や当時の気候モデルの研究により、様々な推測がなされてきた。有力な説は気候変動あるいはホモサピエンスの進出によるものだ。本書は最新の放射性同位元素の年代特定による新たな発見や再鑑定を紹介し、そこから予測されるネアンデルタール人とホモサピエンスの関係を紹介していく。

本書はネアンデルタール人絶滅の謎を最新の研究成果を動員して推測していく。その前提は2点。これまで放射性同位元素の年代特定に大幅にズレがあることが分かってきたこと、ホモサピエンスが史上稀にみる”侵入生物”であることだ。
新たな方法による厳密な遺跡や化石の年代特定は、ネアンデルタール人とホモサピエンスがヨーロッパで共存していた時間や場所を新たに定義することとなった。
そして、本書のメインテーマとなるのが、ホモサピエンスがネアンデルタール人にとっての侵入生物を定義することにより、それがどのように影響したかということだ。近年、侵入生物あるいは外来生物と呼ばれる生物が在来種を脅かしていることは大きな問題になっているが、その研究を本書はホモサピエンスとネアンデルタール人の関係に応用することにより、両者にどのような影響があったかを予測する。
なぜ侵入生物が在来種にとって大きな問題となるのか?大雑把にいえば、侵入者が在来種と同じ獲物を求め、なおかつその獲物を捕らえる術に優れているとすれば、当然のことながら在来種の種の存亡に関わるということだ。本書は多くの証拠からネアンデルタール人とホモサピエンスの違いを明らかにし、生き残った方にどのような有利な点があったかを解き明かしていく。
刺激的な新説、とまではいかないが、人類伝播の謎をまた一つ、明らかにしてくれるサイエンス書だ。

初版2015/11 原書房/ハードカバー

2016.02.21

書評<中国軍を駆逐せよ! ゴースト・フリート出撃す>

中国共産党が倒れ、巨大企業と軍の代表者が人民を支配する近未来。太平洋への進出著しい中国は、マリアナ海溝にて巨大なガス田を発見する。その権益を守るため、中国はアメリカ太平洋軍の排除を決意し、ハワイと宇宙空間で奇襲をかける。アメリカ軍はGPS衛星や偵察衛星を破壊されてネットワークを断ち切られ、ハッキングやバックドアを仕掛けられたCPUにより、最新兵器は使えない状況に陥り、対艦弾道弾で虎の子の空母機動艦隊まで失う。退役した兵器で立て直しをはかるアメリカ軍は果たして太平洋を取り返せるか?近未来の中国軍とアメリカ軍の現状から起こりうる戦争を予測した、軍事スリラーが本作である。

作品の初っ端からアメリカ軍が次々と窮地に陥り、反撃は早期退役した一部の最新兵器と、20世紀末に賞味期限が切れた兵器のみ。なかなかに衝撃的な状況から始まる近未来スリラー。テロとの戦いに追われ、先進的な兵器のプロジェクトはとことん炎上するアメリカ軍の弱点を的確に描写、主人公が指揮する駆逐艦ズムウォルトさえも戦いに臨む直前までトラブル続きと、現実的で冷や汗が出そうなほどのアメリカの負け戦なのだが、だからこそそこから巻き返す物語が素晴らしく面白い。
負け戦を押し返す中心となるのは、アメリカの愛国心と底力だ。ウォルマートが軍のサプライチェーンと化し、アノニマスが中国軍のサイバー部隊を押し返す。もしかしたら、ズムウォルトがレールガンで中国軍上陸部隊を薙ぎ払う場面よりも、そうした”アメリカ”を感じる場面の方が、痛快で爽快感すらある。
冷戦時代と比べると、軍事スリラーは衰退したジャンルで、なかなか面白いと思える作品とも出会わなかったが、本作はおススメのスリラーだ。

初版2016/02 二見書房/二見文庫

2016.02.12

書評<PK ~最も簡単なはずのゴールはなぜ決まらないのか?>

サッカーにおいて、PKは運に左右されるものであり、その必要性を疑う意見も多数ある。一方で、PKはサッカーの歴史に多くのドラマを与えてきた。ペナルティーエリア内でのファールに与えられるPK、試合の決着をつけるPK、いずれにしてもキッカー側が有利に見える。ましてプロのフォワードなら。しかしながら、優秀なGKのプレーはそれを覆す。それが人の心を震わせるのだ。本書はPKという、サッカーの中でも特別なプレーをとことん解説するものである。全盛になりつつある映像データによるプレー分析は、キッカーとGKのどちらに有利に働くのか?PKがうまいキッカー、PKストップがうまいGKの特徴はどんなものかといったプレイヤーの分析から、PKを巡るメジャー選手のエピソードといったものを取り混ぜ、PKを存分に分析し、語っていく。

PKはメンタルが強くて、テクニックがあるキッカーなら100%決まるものでもないし、逆にGKがいくら常識外の反射神経の持ち主であり、正確なテクニックの持ち主でも100%止められるものでもない。また、ある程度まではデータ分析でキッカー、GKの傾向が読み取れるが、それが絶対ではないことは、歴史が証明している。だからこそ、PKはプレイヤーと観客の心拍数と血圧を上げるプレーであり続けるのだ。本書のPKを巡る分析と、PKを巡る物語を読むと、改めてそう思う。本書に登場するデータアナリストのPK合戦の分析に舌を巻くし、プロのプレイヤーたちの細かい駆け引きに驚嘆する。本書を読めば、PK合戦をよりテクニカルに分析しながら観戦することが出来るし、よりプレイヤーに感情移入できるだろう。
本書はテクニカルな分析書でもあり、PKを巡るドラマを楽しむ書でもあり、サッカーを見る目が広がる本だ。

初版2015/12 カンゼン/ハードカバー

2016.02.11

書評<NORAD 北米航空宇宙防衛司令部>

北米航空宇宙防衛司令部、通称NORADはカナダとアメリカが北米大陸へのソ連の航空攻撃を探知・迎撃するために設置された組織であり、一般にはシャイアン・マウンテンと呼ばれる核攻撃に備えた巨大地下施設が有名である。冷戦の最盛期からソ連崩壊、そしてテロの時代になり、NORADも変化している。本書はNORADを軸にすえ、北米大陸の防空体制が時代によりどのように変化していったかを辿るものである。

本書はNORADに配備されたハードやソフトといった軍事資産の解説書ではなく、あくまでカナダ側から見た防空の戦後史を辿るものである。そこに期待すると、肩透かしをくらう。
だが、カナダの国防と外交史として、学ぶところの多い解説書である。、ソ連の攻撃に備えてアメリカが全面的な主導権をとってNORADを運用していたイメージを自分も持っていたが、いうまでもなくカナダも主権国家である。アメリカに飲み込まれないように独自主張しながら、自国の防空のためにNORADを維持、改編していく歴史は、想像するよりも紆余曲折あったようだ。カナダ独自の国防政策として、要撃戦闘機を開発しようとして失敗したり、フランス系とイギリス系の国民に二分されるカナダの国内事情に防衛政策が左右されたりして、カナダも決して平穏無事な国ではなかったのだ。
基本的にはアメリカとNATOの下になるカナダ国防軍は、各地の紛争に武力を提供しながら、ドラマチックに変化する軍でもある。戦車を全廃しようとしたがアフガンでの教訓により最新のレオパルド2改を導入したり、原潜を保有しようとして失敗したり。そこらへんのハードの変化も踏まえて読むと、なかなかに興味深い外交史である。


初版2015/12 中央公論新社/ハードカバー

2016.02.02

書評<あの日>

STAP細胞と名付けられた万能細胞の発見と、若き割烹着姿の女性研究者のアンバランス。小保方晴子女史は、あっという間にマスコミの寵児に持ち上げられた。だが、ちやほやされる時間は短かった。主にネットからSTAP細胞の存在に疑義が出され、その後、論文の図表の挿し間違い(と本人は主張)やずさんな実験ノートの存在など、小保方晴子女史とその所属研究所である理研の評判は地に落ち、小保方氏は別の意味でマスコミに追い回される立場となる。
その間、彼女は何を考え、どのように事態に対応してきたのか?マスコミやこれまでの検証記事に書かれていない真実とは何か?本人の手記により明らかにされる。

STAP細胞にまつわる手記というよりも、小保方氏のこれまでの半生をまとめた手記である。生命科学にまつわる専門用語と、ファンタジックな比喩表現が入り混じる文章は、少なくとも編集の手が大幅に入った文章だが、凄まじい怨念は充分に伝わってくる。「私は不正などしていない。やったのは共同研究者の若山だ!私は担ぎ上げられて、ハシゴを外されただけ」「メディアスクラムと理研の情報リークが私を悪役に仕立て上げた」「NHKと毎日新聞の記者は絶対許さない」などなど。特に山梨大学の若山教授への恨みはハンパない。もちろん、申し訳程度に「私も至らないところが多くあった」と書いてはある。だが、基本的にすべては「他人のせい」なのである。
小保方氏の「私って優秀でしょ」という人生順風満帆な前半部分と、STAP細胞の存在に疑義がかけられてからの後半の疾走感の対比が凄まじく、読むのを止められなかった。少なくともオレは。感情の奔流に打ちのめされる。
何よりもスゴイのは、この期に及んでも「STAP現象はあった」と主張し、反省はしていないのだ。本人は心神耗弱で再現実験も事情聴取もまともに対応できなかったと書いてるが、実はメンタルが強いとしか思えない。

ここに至っては、前記した若山先生にも手記を執筆していただき、泥仕合を繰り広げてほしい。ゲスなオレの心がそう叫ぶ一冊である。

初版2016/01 講談社/kindle版

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