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書評<中国軍を駆逐せよ! ゴースト・フリート出撃す>

中国共産党が倒れ、巨大企業と軍の代表者が人民を支配する近未来。太平洋への進出著しい中国は、マリアナ海溝にて巨大なガス田を発見する。その権益を守るため、中国はアメリカ太平洋軍の排除を決意し、ハワイと宇宙空間で奇襲をかける。アメリカ軍はGPS衛星や偵察衛星を破壊されてネットワークを断ち切られ、ハッキングやバックドアを仕掛けられたCPUにより、最新兵器は使えない状況に陥り、対艦弾道弾で虎の子の空母機動艦隊まで失う。退役した兵器で立て直しをはかるアメリカ軍は果たして太平洋を取り返せるか?近未来の中国軍とアメリカ軍の現状から起こりうる戦争を予測した、軍事スリラーが本作である。

作品の初っ端からアメリカ軍が次々と窮地に陥り、反撃は早期退役した一部の最新兵器と、20世紀末に賞味期限が切れた兵器のみ。なかなかに衝撃的な状況から始まる近未来スリラー。テロとの戦いに追われ、先進的な兵器のプロジェクトはとことん炎上するアメリカ軍の弱点を的確に描写、主人公が指揮する駆逐艦ズムウォルトさえも戦いに臨む直前までトラブル続きと、現実的で冷や汗が出そうなほどのアメリカの負け戦なのだが、だからこそそこから巻き返す物語が素晴らしく面白い。
負け戦を押し返す中心となるのは、アメリカの愛国心と底力だ。ウォルマートが軍のサプライチェーンと化し、アノニマスが中国軍のサイバー部隊を押し返す。もしかしたら、ズムウォルトがレールガンで中国軍上陸部隊を薙ぎ払う場面よりも、そうした”アメリカ”を感じる場面の方が、痛快で爽快感すらある。
冷戦時代と比べると、軍事スリラーは衰退したジャンルで、なかなか面白いと思える作品とも出会わなかったが、本作はおススメのスリラーだ。

初版2016/02 二見書房/二見文庫

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