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書評<ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた>

ホモサピエンスがアフリカからユーラシア大陸に進出する以前、繁栄を誇っていたもう一つに人類、ネアンデルタール人。彼らが滅んだ理由は遺跡や化石の発掘や当時の気候モデルの研究により、様々な推測がなされてきた。有力な説は気候変動あるいはホモサピエンスの進出によるものだ。本書は最新の放射性同位元素の年代特定による新たな発見や再鑑定を紹介し、そこから予測されるネアンデルタール人とホモサピエンスの関係を紹介していく。

本書はネアンデルタール人絶滅の謎を最新の研究成果を動員して推測していく。その前提は2点。これまで放射性同位元素の年代特定に大幅にズレがあることが分かってきたこと、ホモサピエンスが史上稀にみる”侵入生物”であることだ。
新たな方法による厳密な遺跡や化石の年代特定は、ネアンデルタール人とホモサピエンスがヨーロッパで共存していた時間や場所を新たに定義することとなった。
そして、本書のメインテーマとなるのが、ホモサピエンスがネアンデルタール人にとっての侵入生物を定義することにより、それがどのように影響したかということだ。近年、侵入生物あるいは外来生物と呼ばれる生物が在来種を脅かしていることは大きな問題になっているが、その研究を本書はホモサピエンスとネアンデルタール人の関係に応用することにより、両者にどのような影響があったかを予測する。
なぜ侵入生物が在来種にとって大きな問題となるのか?大雑把にいえば、侵入者が在来種と同じ獲物を求め、なおかつその獲物を捕らえる術に優れているとすれば、当然のことながら在来種の種の存亡に関わるということだ。本書は多くの証拠からネアンデルタール人とホモサピエンスの違いを明らかにし、生き残った方にどのような有利な点があったかを解き明かしていく。
刺激的な新説、とまではいかないが、人類伝播の謎をまた一つ、明らかにしてくれるサイエンス書だ。

初版2015/11 原書房/ハードカバー

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