書評<大絶滅時代とパンゲア超大陸: 絶滅と進化の8000万年>
地球の生物は、その誕生から5度の大絶滅を経験してきた。なかでも有名なのは小惑星激突による恐竜の絶滅だが、規模としてはその前の絶滅の方がもっと大きい。本書では5度の絶滅のうち、恐竜絶滅前の2つを取り扱う。それは世界の大陸がパンゲア大陸として、1つだった時代だ。2億年前、全生物の90%が死滅した時、どのようなことが地球に起こっていたのか、地学的な視点から解説していく。
本書で扱う大絶滅のキーワードになるのは「巨大火成岩岩石区(LIPs)」と呼ばれる地層だ。その名のごとく、現在では考えられないほどの巨大な火山の噴火と、吹き出すマグマによって形成された岩石である。その火山爆発こそが大気や海洋の組成を大きく変化させ、生物に大ダメージを与えたとの仮説を提唱する。
著者は地層や岩石に蓄積された地球環境の変化を調べ、生物の苦難の歴史にそれがどう繋がったかを調べ、その仮説を証明していく。いってみれば地道な作業であるが、パンゲア大陸時代のダイナミックな地球の動きを想像すると、人類が生きてる今現在は「ほんのつかの間の休憩」に思えてくる。想像力をかきたてられる本だ。
初版2016/02 原書房/ハードカバー
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