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書評<食糧と人類 ―飢餓を克服した大増産の文明史>

アフリカで生まれた人類は、急速に地球のあらゆるところに伝播した。そこには食糧の確保と増産が不可欠であった。狩猟採集生活から農耕生活、そして科学技術の発達による農耕技術の進化と、食糧増産に関する大きな革命がなければ、今の人類の発展はない。本書は人類がいかに食糧を確保してきたか、その歴史を辿っていく。

人類はその持てる知恵で、狩猟採集生活から脱し、農耕生活に移行した。だが実は、人口増加と社会の形成と引き換えに摂取する栄養価は下がり、体格はむしろ悪くなった。この例をみるまでもなく、食糧と人類の発展の歴史は一直線で結ばれているわけではないのだ。家畜の成立や化石燃料の使用開始など、文明の発展と密接に絡まって、食糧を増産し、人類は人口を増加させてきた歴史を本書は教えてくれる。
おそらく食糧増産の歴史の中で、一番大きな”革命”はフーパーの大気中の窒素固定法の開発だろう。窒素肥料の使用は、農耕の歴史をかえ、それ以前の人口増加カーブを根本から変えた。現在では、いわゆる先進国では過剰のカロリー摂取が問題になるほどである。豊富な食糧が当たり前になり、農薬や遺伝子組み換え食品を”不自然”と忌避する運動もあるが、今一度食糧増産の歴史と意義を見直すことが出来る本である。


初版2016/01 日本経済新聞出版社/ハードカバー

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