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書評<【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛>

2016年は「サイクス=ピコ協定」の締結より100年経過した、節目の年である。オスマン帝国の崩壊後の国境線をフランスとイギリスで定めたこの協定は、当時の民族分布を無視した領土分割で、現在の混乱した中東情勢を招いた元凶の1つとされている。それは果たして真実か?本書はそれを解説していく。

結論からいうと、著者はオスマン帝国下の中東は国境線がはっきり引けるほど民族・部族は別れて暮らしておらず、無理矢理な線引きが民族や宗派を引き裂いたわけではない、ということだ。また、単一の「アラブ国」を築けるほどの”意識”を地域の部族長たちが持っていたわけではないようである。いままで、大国のエゴがアラブ世界の混乱の一因だと思っていたが、そうである面と、もっと前からの因縁である面を整理できる、貴重な解説を提供してくれる本である。
「人類全体としての歴史を変えたのは第2次世界大戦ではなく、第1次世界大戦である」と、つくづく感じさせてくれる本でもある。近代の転回点をもっと勉強すべきだな、と個人的に思わせてくれる本でもあった。


初版2016/06 新潮社/新潮選書

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