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2016.09.06

書評<サッカーと愛国>

サッカーとナショナリズムはもともと「相性がいい」。ヨーロッパではユーゴスラビアの凄惨な分離独立紛争のキッカケの1つとなったし、FCバルセロナはカタルーニャ州分離独立の旗頭だ。
近年、Jリーグにもそういった事件が増えてきた。日本代表戦の韓国、中国での日章旗掲示や、やスタジアムでの「JapaneseOnly」の横断幕の掲示がその代表格だ。著者は事件の周囲を取材するだけではなく、事件の当事者たちに直接会い、実際には何が起こったかを明らかにしていく。さらに海外での人種差別問題への取り組みなども紹介する。

自分もかつてそうだったが、Jリーグのサポーターは「海外な過激なサポーターたち」、いわゆるフーリガンへの憧れが確実にある。「チームを愛するあまり無軌道に暴走する」、その迫力のある群衆を自分たちのスタジアムにも再現したい。そんな思いから他チームのサポーターと衝突したりする。今Jリーグや日本代表戦で見られる、いわゆる愛国的な行為は、その延長であり、言ってみればミーハーな状態に、現在のところはあると思う。
だが、それがエスカレートするとどうなるか?本書が問いかけるのはそこだろう。日本は地理的な条件と滞留資格条件の厳しさから移民は少なく、異民族への本格的なヘイト的な行為が社会に沸き起こるところまでは至っていない(なので少数派が逆に目立つ)。現状、高齢化で静かに沈みつつある日本だが、ときの政権がどこで舵を切るかは分からない。そのときのために、芽は摘んでおくべきなのだろう。自分たちの国への誇りと、他者への攻撃は別だと、肝に命じておかなければならない。
ただねえ、隣の大国はますます攻撃的になるだろうし、朝鮮半島も相変わらずなことは想像がつく。そのとき、あまりにリベラルぶって融和的な態度とるのも偽善的に感じる自分もいる。バランスが難しい。

初版2016/07 イースト・プレス/ソフトカバー

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