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書評<死神の報復>


本書はアメリカとソ連を中心とした、大量破壊兵器という”死神”の管理と削減を巡る重厚な歴史書である。世界のあらゆる場所で凄惨なテロが起きる現代と比べると、冷戦と呼ばれる時代は世界は安定していた、との見方もある。しかし、実際には超大国が互いを滅亡させる核ミサイルを所持するどころか、敵のICBM発射を探知して自動的に報復のICBMを発射する”自動報復装置”たるシステムまで稼働していた。まさに人類の危機である。そうした危険な状態を解消するための「核兵器全廃」の夢を抱えて当選したのがレーガン大統領であった。一方、ソ連は国家システムが破たんしかかっているところで、改革者たるリーダーが現れた。ゴルバチョフ書記長である。本書は前半で冷戦時代末期の大量破壊兵器を巡る超大国の駆け引きを描く。
後半は、ソ連崩壊後の世界を守った官僚たちの戦いの物語だ。ソ連崩壊後、杜撰な状態で保管されている核物質やBC兵器の管理をどうするのか。かつては(今も)地図に掲載されていない秘密都市に乗り込み、大量破壊兵器の拡散を防いだからこそ、世界が懸念する「核テロ」は今のところは発生していないのだ。

共産主義に”勝利”した資本主義は行き詰まりを見せ始め、人々はそれにノーを突き付けつつある経済状況。テロと内戦、それに伴う難民の大量発生。世界は目の前の事態への対応に精いっぱいだが、大量破壊兵器は消えてなくなったわけではない。時代がブロック経済に振れるとして、そのときの核兵器の扱いはどうなるのか?そうした懸念が絶えない今こそ読むべき本であると思う。特に、レーガンを信奉してるらしいトランプ次期大統領は。レーガンは自由主義者で敵対者を攻撃したが、一方で安全保障面でロマンも抱いていたのである。

初版2016/08 白水社/ハードカバー

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