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2016.12.06

書評<さらば白人国家アメリカ>

アメリカの大手マスコミの予測を覆し、2016年のアメリカ大統領選に勝利したトランプ氏。彼の勝利は、先進国の政治情勢の潮目が変わったことの象徴として、いまだ様々な議論がなされている。本書はアメリカ在住の映画評論家である著者が、共和党・民主党両方の候補を決める予備選挙の段階から、実際に大統領選の選挙集会に出席するなどして生の声を拾い、なぜ泡沫候補と思われていたトランプがアメリカ大統領選の有力候補になりえたかをレポートする。

最初に断っておくと、本書は大統領選の投票直前までに各種媒体に掲載された記事を集めて発売されており、結果から2016年のアメリカ大統領選を分析したものではない。トランプが他の共和党候補に競り勝ち、これまでなら致命傷となっていた多くの失言にも関わらず票を集めたわけを著者は「白人国家アメリカの危機感」と分析しているが、それは大統領選後のマスコミの論調と似かよっている。著者はアメリカで起きていたことを正確に把握していた。「オレの好きだったアメリカは変わった」という言葉がそれを象徴している。それでも、著者はヒラリーの勝利を予測して、本書は終わっていた。今となっては、著者の予測は願望に近いものだったのだろうと感じる。著者はアメリカに絶望しているかもしれないが、実際にトランプの施政が始まった後こそが、アメリカのさらなる混乱の始まりだと個人的には思うので、アメリカからのレポートを続けてほしい。

初版2016/10 講談社/kindle版

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