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書評<誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち>

音楽を巡る環境、意識はここ20年で大きく変わった。音楽の販売方法の中心ははCD販売からデータのダウンロード販売に移行し、しかも今の若い人たちは違法ダウンロードにさして抵抗もない。この状況はどうして生まれたのか?大衆が求める音楽を的確にかぎ分けるメジャーレーベルのドン、音楽を圧縮する技術を開発した科学技術者、CD工場から未発売のCDを窃盗する男。3人の人生を通して、音楽産業の急速な変化を描き出す。

本書はさほど固い歴史書などでない。むしろ、3人の男たちの冒険の物語だろう。とにかく大衆が求める音楽を追求していった結果として、自らを追い出したレーベルを買収するほどに成長した会社を率いるプロデューサーの、金を生み出す才覚。ただ優れた技術を開発するだけでは世界規格になることは出来ず、政治を学んでいく技術者。お金というよりも、むしろネットのヒーローとなるために窃盗を続ける男。3人の熱が、CDアルバム販売という主流を切り崩していく様子は、どう考えてもワクワクする冒険、強烈な熱を持っている。画期的な技術が違法行為を呼び、違法行為が巨額を貪るメジャーレーベルを潰していく。音楽を生業にしている方々には申し訳ないが、痛快ですらあるのだ。抜群に面白い一冊だ。

初版2016/09 早川書房/Kindle版

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