書評<ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン>
第2次世界大戦で、日本がアメリカに勝利し、占領統治している世界線。「メカ」と呼ばれる巨大なロボットが都市を睥睨し、反政府勢力に睨みを効かせている。日本軍の出世コースから外れた主人公はなぜか命を狙われ、その原因と思われる幹部を特高警察の女性を探すこととなる。
「パシフィック・リム」の世界を彷彿とさせる素晴らしい表紙に魅かれて買うと、まず詐欺だと感じてしまうSF。世界は日本軍に管理された世界と、管理下を逃れたグロテスクな世界で構成されていて、”メカ”は単なる1つのガジェット。オビにある「高い城の男」のオマージュに近いが、むしろ冲方丁の「マルドゥックスクランブル」の世界に近いと思う。早川書房さんの商売の上手さが際立った作品としか言いようがないのが本音の感想だ。
初版2016/11 早川書房/ハヤカワ文庫SF
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