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書評<漂流>

冒険家である著者は、編集者からの提案により、過去の漂流事故について調査を始めた。そこで1994年、救命筏で37日間の漂流を生き延びた生還者の事故に出会う。取材を始めようと生還者に連絡を取ろうとしたところ、なんと生還者は再び漁に出た後、行方不明だというのだ。彼を中心に沖縄の離島の漁師の生き様を取材していくうち、知られざる遠洋漁業の栄枯盛衰に触れることとなる。

「奇跡の生還」といわれた漂流事故を扱ったノンフィクション。著者は漂流者の経歴を追うが、それは伊良部島の佐良浜という漁師たちの集落の歴史と、南方遠洋漁業の歴史を追うことにもなった。沖縄本島を中心とした、凄惨な戦争の後、漁師たちはどのような歴史を紡いでいったのか?なかでも巨万の富をもたらした、南方遠洋漁業とはどのようなものだったのか?遠洋漁業の中心にいた、佐良浜の男たちとはどのような人間たちだったのか?事故そのものと合わせて、漁業の歴史も紐解いていく、重厚なノンフィクションであり、本土でのほほんと生きている日本人とはまるで別世界の人生に、どんどんと引き込まれていく。著者の長期間にわたる取材の賜物であり、また著者の冒険家という経歴と、漂流民たる漁師たちと生き方がシンクロしたために書くことが出来た日本の漁業の歴史の一部である。

初版2016/08 講談社/ハードカバー

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