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2017.06.20

SV-51γ Completed

ハセガワ1/72SV-51γ、完成しました。
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SV-51γはマクロス・ゼロに登場した可変戦闘機。マクロス落下後にもたらされたオーバーテクノロジーを用いて開発された”幻のもう1つのVF”といったところでしょうか。いわゆるバルキリー系列がF-14トムキャットに始まるアメリカの第四世代戦闘機をモチーフにしているとすれば、こちらはフランカーを意識してデザインされた異形の可変戦闘機で、独特の雰囲気があります。
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ハセガワのキットは反統合同盟のD.D.イワノフ機と一般兵の乗機が再現できる限定版。他のマクロス関係のキットと比べて、やや大味なディテールが特徴。なおかつハセガワにしては離型剤が多めなのか、パーツの洗浄なしだとマスキングテープでボロボロと塗装が剥がれます。これの修復で、ずいぶんと時間を費やし、なおかつ仕上げにかなり妥協しました。
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塗装はD.D.イワノフ気を再現。クレオスRLM166ブラック・グレーを全体に吹き、各所をセミグロス・ブラックで塗り分けてます。下地にエンジンブラックを吹いて、なおかつニュートラルグレーでスミ入れして単調にならないように一旦塗装したのですが、キャラクターモデルにちょっと合わないと個人的に判断。ベッタリめに吹き直しています。
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この限定版、デカールの質も悪くて、ちょっと苦労しました。メーカーとしても、数が出ないので妥協したキットなのかも。ただ、写真にすると悪役っぽさが出たのではないでしょうか。
<マクロス・ゼロ>冒頭の空中戦シーンは、アニメ史に残る屈指の5分間でした。現用機の空中戦後にトムキャットを圧倒するSV-51はマクロス世界における時代の区切りをはっきりと感じさせるものであり、SV-51がドラマに果たす役割は非常に大きいものがありました。その後のマクロス作品はいわばスタイルのいいVFばかり途上しますが、たまにはこういった異形の可変戦闘機も見たいですね。
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2017.06.19

VF-19EF/A Completed

ハセガワ1/72VF-19EF/A"ISAMU SPECIAL"、完成しました。
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VF-19EF/A"ISAMU SPECIAL"はマクロスF劇場版に登場した、イサム・ダイソンの乗機です。2059年当時にS.M.Sに所属してイサム・ダイソンが、デチューンされたVF-19EFに満足いかず、旧知のヤン・ノイマン博士に頼んでVF-19A仕様に改造、さらにVF-25用のスーパー・パックを装備したいわば”魔改造機”という設定です。
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ハセガワのキットは旧来のVF-19にキットにスーパーパックをセットした、限定版の新商品。ベクターノズルを後ハメできるなど、組み立て、塗装に留意した良キット。ただし、スーパーパックの方はサンディングしてもなかなか平面が出ず、多少苦労しました。
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塗装は説明書に準拠し、機体をクレオスC311、スーパーパックをC60を基本に塗装。ただし、個人的好みにより、全体の彩度を落として、ソフトに仕上げています。マクロスはこういうの許されそうなのがイイですね。ロケットノズルもスーパーステンレス+ブラックの混色で、輝きを強めに。まあしかし、細かい塗り分けが多くて、マスキングに時間がかかりました。
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今回はプラッツのスタンドを使用して、飛行状態で固定。スーパーパック付きはこれが似合いますねえ。北海道モデラーズエキジビジョンに向けて、特急工作、続きます。
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2017.06.18

書評<航空宇宙軍史・完全版 五: 終わりなき索敵>

人類が太陽系の外惑星まで進出し、さらに外宇宙に有人探査船を送るようになった時代。それは発展の時代ではなく、動乱の時代であった。太陽系で絶対の軍事力を誇る航空宇宙軍と、独立の意志を固めた外惑星国家の戦い、それは冷徹なまでに物理の世界が支配する戦い。一時代を築いたハードSFシリーズの金字塔を時系列に並べ直し、大幅加筆修正したシリーズの集大成が本書である。

一昨年から定期的に刊行されている<航空宇宙軍史>、ようやく完読しました。正直に告白すると、原版が刊行されていた当時は外宇宙に進出して異星人と戦闘するあたりで脱落したのですが、時系列順に一気読みすると、外惑星動乱を描くためには、外宇宙探査の物語が必然であったことが理解でき、緻密に作り上げられたプロットと伏線に唸ることしきりです。
本書はニュートン物理学と、相対性理論を超えることのない、冷徹な”物理の物語”であり、そこに読者は痺れました。登場するハードウェアは絶妙に想像上の産物と現在の延長線上の技術がミックスされたものであり、それゆえ冷徹でありながらも、熱い戦いが描かれました。スペースオペラと違い、映像化が極めて難しいでしょう。だからこそ、読むのが止められないノベル。著者には生きている限り、続編を書いていただきましょう。

初版2017/04 早川書房/ハヤカワ文庫JA

2017.06.17

書評<人質の経済学>

ほぼ内戦状態のイラクやシリアをはじめ、治安が極端に悪化してる地域で急速に増加してきたのが”人質ビジネス”である。詳しい事情を知らないまま紛争地帯に入るジャーナリストやNGOのスタッフを誘拐し、当該国家や団体に対し身代金を要求するビジネスは、止むことのない紛争の中で貧困にあえぐ人たちにとって、危険に値するビジネスなのである。本書はそうした人質ビジネスの実態を明かし、さらにヨーロッパを苦しめている難民問題にも触れ、そこにもマネーが絡んでいることを明かしていく。

国家はたいてい「テロリストとは取引しない」という原則を貫こうとする。それがタテマエの国家もあるし、そうではない国家もある。テロリストたちは巧みに優柔不断なそれらの国々を揺さぶり、大金を分捕ろうとする。そこに慈悲などなく、悪質な犯罪があるのみだ。著者は誘拐の交渉人や救出された人質へのインタビューをメインに、その仕組みを解説していく。イスラム聖戦を標榜するテロリストたちは、結局のところ犯罪で大金を稼ぐマフィアと変わらない。
それと同時に著者がたびたび指摘するのが、無知なジャーナリストやNGOスタッフの不用意な行動だ。最低限の知識とコネすらなく、若さと勢いだけで紛争地帯に入り、名を上げようとする愚か者たちに税金が費やされ、テロの資金源となる。なのに、ときに救出された人質たちはヒーロー、ヒロイン扱いだ。グローバル化の負の側面だろうがなんだろうが、危険地帯に不用意に踏み込むべきではないし、もっと批判されるべきだろう。残念ながら、今のシリアやイラクは、人権などという言葉が通じる場所ではない。そのことがよく理解できるレポートである。


初版2016/12 角川書店/Kindle版

2017.06.03

書評<バッタを倒しにアフリカへ>

すさまじく地道で緻密なバッタ研究の著書で注目を集めたバッタ研究者が、いよいよアフリカの大地に立ち、フィールドワークをスタートさせる。凄まじい数の群れを作って飛翔し、農作物に壊滅的な被害をもたらし、「神の罰」とも呼ばれるサバクトビバッタを研究するため、アフリカのモーリタニアの地に降り立ったのだ。日本とはまったく違う環境ながら、様々な人たちとの出会いにより、研究は前に進んでいく。道を究めようとする科学者の挑戦を、赤裸々に描く。

本書を短く紹介すると上記のようになるのだが、実際の内容はもっと濃い。現地での賄賂や食事など慣習の違いの記述はもちろんあるが、本書の中心は2つ。バッタとの戦い(研究)と、研究費を稼ぐための戦いだ。アフリカの広い大地で、群生するバッタの被害を根本的に解決するため、バッタの生態や習性を定量的、定数的に追う。こちらの成果はいずれ、専門的な科学書でお目にかかるだろう。著者のもう一つの戦いは、研究費の獲得だ。昆虫学の博士として、大学から研究費をもらいながら、アフリカでフィールドワークをこなすのは、おそろしくハードルが高い。著者は様々な手段と人脈を使い、試験と面接に挑む。道を究めるのは、簡単ではないのだ。
本書でただ1つ、苦言を呈するなら、著者がウケを狙いすぎなところかなあ。エンターテイメントとしての著書もいいけど、ポピュラーサイエンスも手掛けて欲しいものだ。


初版2017/05 光文社/光文社新書

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