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書評<世界の辺境とハードボイルド室町時代>

日本の歴史の中でももっとも混乱し、ルール無用な世界であった応仁の乱と室町時代。対して、今もほぼ無政府状態にある失敗国家の代表格、ソマリア。混乱続くソマリアで、秩序らしきものがある地域、ソマリランドで取材を重ねた高野秀行氏が「ソマリアは室町時代に似ている」と感じたことから、歴史学者の清水克行氏と対談。見識ある2人のやり取りが時代も地域も違う2つの地域の共通点を相違点を見出していく。

なんだか固い紹介になってしまったが、高野氏の他の著作と同じく、柔らかい文体でありながらも、興味深い文化比較論が展開されていく本書。複数の秩序が重なり合う状況、複雑怪奇な通貨体制、一筋縄ではいかぬ地縁、血縁の繋がり。日本の歴史の中にもあった動乱の状況が、現代のソマリランドと比較することにより、より鮮やかに描き出す。
本書はそうしたソマリアと室町時代の日本を比較するだけではなく、高野秀行氏、清水克行氏それぞれの経歴や文章の書き方などに及ぶ。まったく違う2つの分野の知識の重なり合いが非常に面白い一冊である。

初版2015/08 集英社/Kindle版

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