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書評<徳は孤ならず 日本サッカーの育将 今西和男>

1994年のJリーグファーストステージを制したサンフレッチェ広島。23年を経た2017年開幕時、その当時の所属選手たちの多くは指導者や監督となり、Jリーグに貢献している。彼らはサンフレッチェの前身であるマツダおよびJ開幕当時のGMであった今西和男がスカウトしてきた男たちであった。日本サッカー界の伝説の一人、今西和男の半生を追うノンフィクション。

サンフレッチェサポーターにとって、今西和男は歴代の選手や監督よりもカリスマ的な存在なのかも知れない。当時としては先進的な戦術を採用する監督を招聘、地方チームに栄冠をもたらしたGM。広島で被爆した今西は脚が不自由なのにも関わらず、ファイト溢れるDFとしてプレイ。引退後もマツダで独身寮の管理人として社会人のキャリアを積んだ彼は、チームに何が必要かを学び、人間味溢れる魅力で人々を率いた。本書の前半は、いわば今西の”栄光への奇跡”かもしれない。
しかし、本書の中心は後半の岐阜FCでの苦難である。縁もゆかりもない土地で、破綻寸前のサッカークラブのGMを引き受け、社長まで務めるものの、財界や政界、果ては”日本サッカー界の発展”という共通目標を持つサッカー協会に翻弄され、最終的に解雇された今西。レジェンドの晩節のキャリアとしては、あまりにも悲痛な事実。地方自治体と地方経済界とJリーグの歪な関係がそこには見てとれる。本書は単なるレジェンドの半生の物語ではなく、告発の一冊である。

初版2016/06 集英社/ハードカバー

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