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書評<トラクターの世界史 - 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち>

人類が農耕を始めてから長い間、「土を耕す」という行為は人力や家畜の力で、鋤や鍬といった農機具を用いたものであった。しかし、蒸気機関と内燃機関の発達が「トラクター」という車輛の登場を促す。それはアメリカにおいては開拓地の発展の象徴であり、旧ソ連においては農民たちの団結の象徴ともなった。農業の歴史を変え、世界を変えたトラクターの登場と発展を、世界史を俯瞰しながら描き出す。

「トラクターがこれほど世界を変えたとは!」という驚きが読み終えた後の感想である。瀬戸内のミカン畑以外は農業と関わることがなかったので、土を耕すことの重要性、そしてそれがいかに過酷な労働であったかを知らなかったことはもちろんだし、それをトラクターが変えたことももちろん知らなかった。そして、トラクターの世界的普及もまた、乗用車と同じくフォードが成し遂げた事業であったのも意外だ。やがて、ヤンマーやクボタといった日本メーカーが世界市場を席巻していく戦後史も、自動車産業の発展と重なる。
トラクターを通して農耕の近代史のみならず、イデオロギーの象徴とされたことなど多面的に歴史を知ることが出来る素晴らしい本である。

初版2017/09 中央公論新社/中央公論新書

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