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2017.10.07

書評<フォルクスワーゲンの闇>

自動車の排ガス規制に関する公的テスト実施時のみ、排ガスの有害物質が激減する「ディフィート・デバイス」を用いたとして、世界的なスキャンダルとなったフォルクスワーゲンの「ディーゼル・ゲート」事件。公正なイメージが強いドイツのトップメーカーのスキャンダルは業界を揺さぶり、乗用車用のディーゼルエンジンのイメージを致命的に悪化させた。このスキャンダルはなぜ起こったのか?戦前からのフォルクスワーゲンの会社の成り立ちと創業者一族の思惑を軸に、巨大企業の闇を暴き出す。

フォルクスワーゲンとポルシェ。その立ち位置は独特だ。世界的なドイツの自動車メーカー2社とその創業者一族は、ナチス・ドイツに協力していたメーカーだったが、その複雑な株式と提携関係も温存されたまま、2次大戦後に発展を遂げた。また、州政府も株式を保有し、役員会での発言権を維持する。ドイツでは労働者が保護されるため、社員解雇などリストラが難しい。こうした状況が、メーカーとして無理やりにでも拡大発展していくしかない経営方針を選択させることとなる。その企業規模拡大の武器が、北米進出であり、クリーンディーゼルエンジンであった。本書はこうした経緯に至るまでを、丁寧に描き出し、スキャンダルの裏側を暴き出すことに成功している。日本ではあまり報道されることがなかったが、フォルクスワーゲンはもともとスキャンダルを繰り返している会社であること、良くも悪くも労働組合をバックにつけた創業者一族の独裁体制であることが明かされている。その姿は、この日本でのブランドイメージとはかけ離れたものだ。
日本では盲目的にドイツ車を礼賛する傾向がみられるが、ディーゼルゲートの後の急速な電動化推進、中国市場での拡売策など、政治的な動きを背景にしたドイツ車メーカーの動きは胡散臭いところも多い。ドイツびいきの自動車評論家や経済評論家こそ、本書を読んでほしい。


初版2017/07 日経BP社/Kindle本

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