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書評<売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ>

三重県の志摩半島周辺に位置する渡鹿野島は、”売春島”としてもそのスジでは有名であった。売春が当局に黙認されているわずかな地域の1つである渡鹿野島であるが、人身売買された女性が海を泳いで脱出をはかったこと、元警察関係者が置屋と呼ばれる売春婦たちを管理する店舗運営に関わっていたなど、実態不明なウワサには事欠かない渡鹿野島について、著者はその歴史と現状を探っていく。

この手のスキャンダル本というか暴露本は数あるが、本書はそれらとは一線をかす。廻船が行き来していた江戸時代まで売春島の歴史を遡り、そのうえで戦後からの売春島の興亡をレポートしているからだ。売春島が最盛期だったときを知る中心人物(暴力団関係者を多く含む)を探し出し、小さな島に8階建てのホテルを建てるまでになった経緯を探り、それが没落していった理由を探っていく。都会の風俗街とはまた違う歴史を背負った島の記録は興味深い。
そして本書は、ただの過疎の島しょ部になりつつある島の現在もレポートし、それを建物や土地の固定資産税評価額制度の矛盾にまで繋げていく。日本のねじれた社会の興味深いレポートである。

初版2017/08 彩図社/ソフトカバー

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