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2018.01.17

書評<レッド・プラトーン 14時間の死闘>

2009年、アメリカ軍はアフガニスタンにおける対テロ戦争から抜け出せず、各地で激しい戦闘を繰り広げていた。そんな中で、特に苦闘を強いられた陣地がある。前哨地キーティング。厳しい山岳地にある小さな陣地は小さな村や産地の斜面から射ち下ろされる位置にあり、まったくもって不適切な前哨であった。案の定、キーティングは撤退直前にタリバン達の総攻撃を受けることになる。

アフガニスタンでの対テロ戦争の中で、特に英雄的な戦闘としていくつかが伝わってきているが、本書はその中でももっとも激しく、犠牲が多い戦闘のあったキーティングでの戦闘を扱ったノンフィクションである。著者は多くの犠牲者を出した部隊<レッド・プラトーン>を率い、戦闘に参加した職業軍人である。詳細な戦闘の記録、当事者たちの証言をもとに、凄惨な戦闘と、兵士の英雄的な行動をリアルに描き出すことに成功している。計画的なタリバンの戦闘行動、味方であるはずのアフガニスタン人たちの不穏な行動、激しい銃撃戦。もともと不利な戦闘に、なんとか対応しようとするプロの歩兵、味方をなんとか助けようと悪天候や対空砲火に飛び込む上空支援の戦闘機や攻撃ヘリ。激しい戦闘で繰り広げられる中での点景がうまくまとめられ、読者に息もつかせない。さらにはリーダーたちの苦悩も描かれ、決断の重さも考えさせられる。現代の歩兵戦闘の一端を知ることが出来る傑作ノンフィクションである。

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