書評<アリスマ王の愛した魔物>
大国に囲まれた小さなアリスマ国に生まれな、不細工な王子。彼はすべてのモノ、コトを数字として数え、計算していく。彼は数字と計算で国情を把握し、大国との戦争にも打ち勝っていく。臣民をコンピュータ代わりにして。彼の行く着く先はどこか。その他、バイクの人工知能という身近なテクノロジーから、異星からの侵略者まで、SFの大家が送る短編集。
本作は著者の長編連絡「天界の標」のような重厚な作品ではなく、軽やかな作品集である。ネットのデータ蓄積がバイクを通して世代を繋げる身近な技術SFから、たぶんにファンタジー世界の要素を含めながらも現代科学を絡めた表題作まで、著者の多様な世界観が詰まった一冊。軽く読めるが、何度も読みたい短編集だ。
初版2017/12 早川書房/kindle版
« EA-18G/VAQ-141 Completed | Main | 書評<JKハルは異世界で娼婦になった> »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 書評<ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く>(2022.08.28)
- 書評<バルサ・コンプレックス “ドリームチーム”&”FCメッシ”までの栄光と凋落>(2022.05.25)
- 書評<冷蔵と人間の歴史>(2022.05.24)
- 書評<ザ・コーポレーション>(2022.05.23)
- 書評<狩りの思考法>(2022.04.19)
The comments to this entry are closed.
Comments