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2018.02.24

書評<15時17分、パリ行き>

2015年8月21日、15時17分にアムステルダム駅を出発した高速列車はパリに向かっていた。その乗客の中に、気のおけない幼なじみ3人のアメリカ人の若者グループが乗り合わせていた。その車内に、イスラム過激派の男が重武装して現われた。大きな犠牲が発生するはずだったテロは、乗り合わせたアメリカ人の勇気ある行動によって防がれる。そこにはどんな物語があったのか?実際に起こった事件を詳細に綴ったノンフィクション。

軍属ではあるものの、決してエリートではなかった2人と、カリフォルニア在住の普通の若者。3人はいかに大規模テロを未然に防いだのか?主人公たちの視点を中心に、過去と現在を交錯させていく。
この「英雄物語」のテーマの中心は”導かれる運命”といったところだろうか。”ヨーロッパ周遊旅行”を楽しんでいた主人公一行は、ヨーロッパで出会った女の子たちから「パリは感じ悪い。行かない方がいい」と言われていたのにも関わらず、高速鉄道に乗車した。乗車前に身障者を介助したゆえに、最初に乗ろうとした車両に乗らなかった。そしてテロリストともみ合いになったときに、カラシニコフが起こしたジャム。偶然が、勇気を奮い起こした神が若者たちを助けたのか?英雄譚というよりは、運命を考えさせられるノンフィクションである。


初版2018/02 早川書房/ハヤカワ文庫NF

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