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2018.02.17

書評<我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち>

我々ホモ・サピエンスは現在のところ単一種であり、他のホモ属、本書でいうところの「我々ではない人類」がいない、珍しい種である。だが、かつては多くの土地に我々とは違う人類が存在していたことが明らかになっている。ジャワ原人、北京原人、ネアンデルタール人などが良く知られている。ホモ・サピエンスは出アフリカの後、世界に伝播したことが明らかになっているが、彼らはどういう運命を辿ったのか?我々との生存競争に敗れ、絶滅したのか?また、混血はあったのか?そもそも、他の人類は出アフリカであったのか?人類学者は化石の発掘により、多くの謎を解き明かそうとしている。

今、アジアの人類化石の発掘が非常に盛んであり、多くの化石から人類の伝播の歴史の謎が明らかになりつつある。出アフリカ人類がどのように分散、分岐し、ホモ・サピエンスだけが生き残ったのか?遺伝子解析の結果とともに、現時点での最新の研究結果をレポートする。小さな化石の小さな違いが、多くの歴史の分岐点を示唆する、ゾクゾクする研究だ。大洋と様々な大きさの島と海峡の存在がアジアでの人類の分散のポイントであり、我々だけが生き残った理由もそこにある、というのが著者の”感触”だ。我々より古い人類は島に渡り、亜種を生んだが、ホモ・サピエンスは伝播の速度が速く、亜種が生まれる間もなくアジアに生息域を拡げたらしいのだ。まだまだ研究が続く分野の、興味深いレポートだ。

初版2017/12 講談社/ブルーバックス

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