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書評<イスラム教の論理>

神の啓示を集めた聖典であるコーランに依って生きるムスリムの論理は、欧米を中心とするキリスト教社会や民主主義を主体とする近代社会とは相いれない。ジハード、カリフ制、異教徒あるいは同じイスラム教徒へのテロ、女性に関する倫理観など、西洋社会に生きる我々には理解しにくいイスラム教の論理を、コーランから説明を試みる。

「イスラム国が発信する論理は、コーランから見ると肯定せざるをえない」。これを書いているだけでも、非常に率直なイスラム教の解説であると思う。”イスラム教は本来、平和な宗教である”などというおためごかしを否定することからでしか、昨今のテロの頻発は説明できない。イスラム教に関して、近代民主主義とは相いれないが非常に納得のいく論理が展開され、ポリティカルコレクトネスによって分断される昨今の欧米の状況を考えれば、西洋社会が標榜する民主主義の傲慢すら感じてしまうのだ。欧米の首脳たちが受け入れようとする「イスラム教徒」は、彼らの価値観の枠内に収まることを余儀なくされているだけであり、そこから離れた”本来の”イスラム教徒と衝突が起こってしまうのは、当然の帰結といえる。
インターネットの発達により、これまで民主主義や各国の制定法に縛られていたイスラム教徒がコーランの本来的な解釈に触れることが出来るようになった。これが近年のイスラム教の論理を厳密に守ろうとする諸現象の根源であり、イスラム教と西洋社会の価値観の摩擦は増加するばかりであろうと本書はそう警告する。約20年前、「文明の衝突」という理論が流行したが、本当の文明の衝突はこれからである。

初版2018/02 新潮社/新潮新書(kindle版)

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