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書評<極夜行>


探検家として、著述家として知られる著者は、数年前からグリーンランドのシオラパルクという世界最北の小さな村に通い、交流しながら新たな冒険を準備していた。太陽が地平線の下に沈んで姿を見せない、極夜と呼ばれる長い漆黒の夜の中、グリーンランドを横断しようというのである。
著者のポリシーによりGPSを使わずに、厳しい冬を踏破する冒険。ゆえに六分儀の取り扱い方の学習や、食糧デポの準備など、万全な準備を数年に渡りしていたはずだったが、自然と運命はそんなに甘くなかった。アクシデントだらけの冒険行から著者は生きて帰れるのか?とにかくトラブル続きのノンフィクション。

著者としては”何もかも予定通りいかない”、そんな冒険行を綴ったノンフィクションである。日本の日常から抜け出して非日常に飛び込むとはいえ、多くの危険が潜む極夜行に著者は多くの準備時間を費やしていた。なのに、天測機器を出発早々になくし、季節外れのブリザードに巻き込まれ、備蓄していた食料を奪われ…トラブルはあげればキリがない。著者はそんな状況におかれてもたえず思考し、危機を乗り越える。むしろトラブルのおかげで、読者である我々にとっては極夜におかれた人間の精神と肉体の状況を疑似体験出来るのかも知れない。
山あり谷ありそのもの、何度も読む価値のあるノンフィクションである。


初版/2018/02 文藝春秋/ハードカバー

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