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書評<陰謀の日本中世史>

日本中世史、幕府と朝廷の支配が交差し、様々な地方の武士がのし上がってきた時代には、様々な陰謀論が存在する。代表的なものが「本能寺の変」であろう。”黒幕”の存在がいろいろな論者から唱えられるが、果たして真実はどこにあるのか?分厚い日本中世史の知識を持つ著者が、日本中世史の中の陰謀論を検証していく。

「陰謀論」はいつの時代にも、どこにでもある。アメリカなど、月着陸やケネディ大統領暗殺、あるいは9.11同時多発テロの”真実”は別のところにあると信じる人が人口の半数にものぼるそうだ。それは日本も同じで、歴史の中には陰謀論が溢れている。日本史は戦後の定説が新資料の発見によって覆されているので、余計に歴史解釈が分かれるのかも知れない。
本書で特徴的なのは、古参の学者の唱える陰謀から、突飛で新奇な新説まで、基礎資料を読み解きながら的確に反論していることであろう。当時から現在に伝わっている書物の傾向を丁寧に読み解いて、複数の資料をあたり論説を組み立てる著者の唱える”反陰謀論”は、非常に説得力がある。また、戦後のマルクス主義や唯物論に捕らわれた戦後の日本中世史解釈を批判する著者ならではの解説も新鮮だ。
ワタシのような日本史勉強初心者に、日本史の勉強の仕方を教えてくれているような本であった。

初版/2018/03 角川書店/角川新書

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書評<イラストでまなぶ! 戦闘外傷救護 -COMBAT FIRST AID->

イラスト、あるいは女性モデルで戦闘外傷救護の基礎を学ぶことが出来るイラスト本である。表紙からは想像できないが、銃創や創傷への緊急対応マニュアルになるべきものである。

日本は救急救命というと、心臓疾患への対応が多く、大量出血への対応など、一般人の知識は皆無であるといっていい。しかし、70年代の連続企業爆破テロ、90年代のオウム真理教のサリン事件、近年では秋葉原歩行者天国へのトラック突入や相模原障害者施設大量殺傷事件など、日本は被テロの先進国であり、またどこでテロが起きるか分からない。そうした中で、大量出血に対する緊急対応など、本書には学ぶことが多い。ただでさえ、日本の消防・救急救命の装備はアメリカなど先進国に劣っているといわれている。我々一般人も、意識を変えることを示唆されている一冊である。

初版2018/03 ホビージャパン/ソフトカバー

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書評<ミリオタJK妹! 異世界の戦争に巻き込まれた兄妹は軍事知識チートで無双します>

兄妹でミリタリー系ラノベ作家である宗也とみぐ。兄妹は、突然滅びかけた異世界の王国に召喚される。その世界で人類は最弱の存在であり、現実に竜人の軍団に最後の都市を包囲され、絶滅寸前であった。軍事と歴史の知識が豊富な宗也は王女に仕える参謀として、肉体派のみぐはわずかに持ち込んだ現代のツールを駆使し、圧倒的に不利な状況を打開しようとする。

「ミリオタが異世界に召喚されたら」系のラノベは多くあるが、多くのミリオタが抱える矛盾を昇化させてくれる物語だ。召喚された王国は異世界の全般状況から現実を掴めておらず、古いイデオロギーから自らを滅びの道に招いている状態。「戦争はキライだけど、戦争に関する知識を愛している」ミリオタが存分に活躍できる舞台が用意されているのだ。もちろん、不利な状況に知識だけで勝てるわけではないが、そこはみぐがいわば「強硬偵察部隊」として兄を助ける。コミカルな場面ももちろん満載で、読み応え充分のラノベである。


初版2018/02 SBクリエイティブ/GA文庫

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