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書評<新薬の狩人たち>

人類は”知恵”を持ち始めたその初期から、様々な薬を探求し続けている。寄生虫除けの植物の根から、現代のバイオ薬品まで、研究の進捗と停滞を繰り返しながらも、人々は人間にとって致命傷となる感染症や病気に効く薬を探し当ててきた。本書は創薬に関わる研究を続けている著者が、新薬の探求をまとめた年代記である。

本書はギャンブラーであり、ハンターである新薬の探求者たちの歴史をまとめたノンフィクションだ。それは人々の身近にある植物からはじまり、オイルや染料の研究から派生した新薬の開発、人間の益となる土壌細菌の発見やほ乳類に由来する特効薬。新薬の探求の現場の移り変わりと、それにかかわる人々の冒険と苦悩の歴史は人類の近代史とも重なっており、その関係が非常に興味深い。単に優秀な医師と科学者がいるだけでは研究が前に進まず、社会運動家とそのパトロンが必要だったピルなどは、まさに現代史で教えるべき事例だ。
それと同時に本書は新薬の探求のリスクにも言及する。「適量なら薬、過剰摂取は毒」といわれるように、薬には必ず副作用がある。副作用を避けるには膨大な試験が必要であり、ゆえに新薬は非常に高価である。薬品業界は暴利を貪っていると批判されがちだが、それならば、過剰ともいえる企業合併による業界再編は必要あるまい。新薬の探求はグローバルカンパニーにとっても巨大なリスクなのだ。
本書は素人にも薬学の歴史とその溢れるエピソードに触れることが出来る、必読のノンフィクションだ。

初版2018/06 早川書房/ハードカバー

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XF-2A/XF-2B Completed

ハセガワ1/72XF-2A(502号機)・XF-2B(101号機)完成しました。

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今回は飛行開発実験団のF-2A/Bが主役というより、ASM-2とASM-3のダミー弾が主役。亜音速のシースキミング・ミサイルであるASM-2に対し、新世代の空対艦ミサイルであるASM-3は固体ロケット・ラムジェット統合推進システム(インテグラル・ロケット・ラムジェット、IRR)により、マッハ3の速度を発揮、高度化した艦載対空システムの対応時間を短縮させ、命中率を高めています。また、レーダー電波に捉えるパッシブ・ホーミングモードを持つことも特徴の一つです。

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ハセガワのキットは従来のF-2Aのキットと、ASM-3×2、AAM-5の新規パーツが付属した限定版の新商品。いずれはウェポンセットで別売りされるでしょうね。岐阜基地の航空実験団のF-2は文字通り新装備の開発部隊であり、搭載する兵器と母機のインテグレーションもその任務の一つで、様々な搭載兵器のパターンでの飛行が目撃されていますが、今回はタンクとASM-3、AAM-5の組み合わせとチョイス。

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502号機はどうしても不満があるシートをアイリスのレジン製に交換し、内側がツルツルのエキゾーストノズルにプラシートを貼って段差を再現した以外はストレート組み。ホワイト成型で、デカールで翼端のオレンジなど再現されており、やる気になればすべてデカールで再現できますが、塗装した方が楽なのでマスキング地獄を選択。オレンジはクレオスのオレンジ、ブルーはインディブルーにホワイトを1滴垂らしたぐらいがちょうどいいようです。

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ASM-3のダミー弾も一部以外はデカールで再現できます。その他ホワイトの試験弾を製作できますが、量産型がどんなカラーになるかはまだ不明ですね。
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そして、同じくASM-2のダミー弾を主役としたXF-2Bの2号機(101号機)。

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こちらは1998年(20年前!)のキットをストレート組み。XF-2Aと同じくシートとノズルのみ手を加えています。

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101号機はレッドの面積が大きく、こちらは必然的にマスキング地獄。全面ホワイトを吹いた後にクレオスのレッドをビン生で吹いていますが、どうにもムラが出てますね。もう一段、ピンクの下塗りが必要のようです。

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ASM-3のダミー弾は今はなきマスキングシールメーカーのデカールを使用。古い商品なので劣化を心配しましたが、薄いシートはむしろ現代のハセガワさんのスタンダードより良好。

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そして以前製作した量産型のF-2A/Bと記念撮影。

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1/72の楽しみを実践してるけど、こうなると1号機と4号機も作んなきゃなんないわな。いずれそうしましょう。

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書評<八九六四 「天安門事件」は再び起きるか>

1989年に起きた「天安門事件」は、現代中国においてもっともタブーな事件であることは間違いない。中国の歴史の中でもっとも民主化に近づき、政府と軍が弾圧したその事件は、中国という国家と、天安門事件に関わった人たちにとって、大きなターニングポイントとなった。本書は天安門事件に関わった人たち、リーダー格の人間からデモに参加した「普通の市民」たち、当時の中国にいた日本人留学生など、多様な人たちのインタビューを通して、天安門事件とは何だったのか、天安門事件は現在の中国に、そして世界にどんな影響を与えたのか考察する。

天安門事件当時、デモの参加者は学生が中心で、著者がインタビューした2010年~2015年前後には50歳前後になっている。デモの参加した人物たちはいまや世界の経済をリードする中国でそれなりの地位に就いている。彼らは世界情勢に関心がある他国の市民よりも、天安門事件を醒めた目で捉えている。「若気の至り」だったわけだ。
一方で、天安門事件をその後ネットで知った人物たちの置かれた現状と、考え方の方が興味深い。天安門事件をある種美化し、ネットで過激な意見を発信し、当局に目をつけられたりする。
著者も指摘しているが、日本の学生運動の挫折や、ネット右翼の台頭に奇妙な類似を感じる。市民と国家の関係は、共産主義であろうと民主主義であろうと変わらないのか?思想的な考察は本書の管轄外だが、非常に興味深い現象を著者は見出すことに成功している。
日本からは著しい経済発展に目がいきがちだが、天安門事件後、中国も指導者の複数の交代があり、揺らぎがあったのも事実。統制が厳しい習近平体制の後、中国はどこにいくのか?共産党一党支配というなの人治政治の行方は常に追っていかなければならないと感じさせる一冊である。


初版2018/05 角川書店/kindle版

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書評<億万長者サッカークラブ サッカー界を支配する狂気のマネーゲーム>

現在、世界のサッカー界はヨーロッパの5大リーグを中心に回っている。プレミア、リーガエスパニョーラ、セリエAなどに所属するいわゆるビッグクラブだけではなく、本来なら地域密着の中小クラブにまで外資が導入され、チームの強化や選手の移籍などに使われるマネーが増大している。一種のマネーゲームと化しているヨーロッパサッカーの現状を解説していく。

本書はヨーロッパのプロサッカークラブが舞台の話だが、各章はロシア、北米、中東、アジアに分かれている。つまり、それらの地域のスポンサーたちがある意味でヨーロッパのサッカーリーグの主役たちなのだ。ソ連崩壊後の混乱の中、エネルギー資源で得た金をプレミアリーグで”浪費”するオルガリヒと呼ばれる新興の大富豪たち。アメリカのスポーツビジネスの論理を持ち込み、若い選手をスタートアップカンパニーのごとく投資対象にするビジネスマン。オイルマネーを背景とし、”脱石油後”の世界を生き抜くためにサッカーに投資する中東の王様たち。ビジネスと政治が分かち難いアジアの富豪。それぞれが、サッカーを利用し、ある者は大金を手にし、あるものは名誉と政治的資産を手にする。純粋にスポーツ面だけを見ていては、近年のサッカー界は理解できないのだ。
世界を席巻するマネーのグローバル化の一翼を担う、ヨーロッパの各国リーグ。ますます目が離せない。

初版2018/04 カンゼン/ソフトカバー

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第二音戸大橋とアレイからすこじま公園で夜景撮りしてきた

豪雨災害でJRと高速道路が寸断され、観光客激減の呉市。少しでも宣伝になればと思い、夜景スポットを撮影してきました。
まずは第2音戸大橋。
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(シャッター優先モード/SS3/F5/ISO100くらい)
そしてアレイからすこじま公園。海岸沿いから、海自基地の停泊集合写真が撮れるのだ。
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(シャッター優先モード/SS5/F7.1/ISO650くらい)
蚊の襲来と戦いながらの夜景撮りですが、オレみたいなへたっぴでも、雰囲気ある写真が撮れます。交通手段がまだ回復しておらず、各地で土砂崩れの爪痕が残っていますが、観光そのものには影響ありません。ぜひ呉にお越しを!

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