書評<億万長者サッカークラブ サッカー界を支配する狂気のマネーゲーム>
現在、世界のサッカー界はヨーロッパの5大リーグを中心に回っている。プレミア、リーガエスパニョーラ、セリエAなどに所属するいわゆるビッグクラブだけではなく、本来なら地域密着の中小クラブにまで外資が導入され、チームの強化や選手の移籍などに使われるマネーが増大している。一種のマネーゲームと化しているヨーロッパサッカーの現状を解説していく。
本書はヨーロッパのプロサッカークラブが舞台の話だが、各章はロシア、北米、中東、アジアに分かれている。つまり、それらの地域のスポンサーたちがある意味でヨーロッパのサッカーリーグの主役たちなのだ。ソ連崩壊後の混乱の中、エネルギー資源で得た金をプレミアリーグで”浪費”するオルガリヒと呼ばれる新興の大富豪たち。アメリカのスポーツビジネスの論理を持ち込み、若い選手をスタートアップカンパニーのごとく投資対象にするビジネスマン。オイルマネーを背景とし、”脱石油後”の世界を生き抜くためにサッカーに投資する中東の王様たち。ビジネスと政治が分かち難いアジアの富豪。それぞれが、サッカーを利用し、ある者は大金を手にし、あるものは名誉と政治的資産を手にする。純粋にスポーツ面だけを見ていては、近年のサッカー界は理解できないのだ。
世界を席巻するマネーのグローバル化の一翼を担う、ヨーロッパの各国リーグ。ますます目が離せない。
初版2018/04 カンゼン/ソフトカバー
« 第二音戸大橋とアレイからすこじま公園で夜景撮りしてきた | Main | 書評<八九六四 「天安門事件」は再び起きるか> »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 書評<ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く>(2022.08.28)
- 書評<バルサ・コンプレックス “ドリームチーム”&”FCメッシ”までの栄光と凋落>(2022.05.25)
- 書評<冷蔵と人間の歴史>(2022.05.24)
- 書評<ザ・コーポレーション>(2022.05.23)
- 書評<狩りの思考法>(2022.04.19)
The comments to this entry are closed.
« 第二音戸大橋とアレイからすこじま公園で夜景撮りしてきた | Main | 書評<八九六四 「天安門事件」は再び起きるか> »
Comments