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2019.01.06

書評<反ワクチン運動の真実: 死に至る選択>

様々な感染症を医療の発展により克服してきた人類。その中心的な存在はワクチンである。いわゆる先進国では、種痘をはじめとしてワクチンを乳児・幼児期までに接種し、集団的免疫を得る。
しかしながら近年、世界的にワクチン接種を拒否する親たちの存在が問題となっている。費用の問題ではない。自閉症など深刻な副作用を心配してのことだ。そこには親が子を思う心につけこむ、社会運動家や医療従事者の存在があった。本書はアメリカにおける反ワクチン運動の歴史を辿り、その危険性を明らかにしていく。

現代における医療の論争の一つが、ワクチン接種を巡る問題だ。日本でも近年、子宮頸がんワクチンの副作用が問題となり、接種が中止された。だが、それは統計的な検討ではなく、ヒステリックな扇動を行う社会運動家と、マスコミ報道によるものであった。
このような反ワクチン運動は今に始まったことではない。アメリカやイギリスでは20世紀初頭から、反ワクチン運動が存在した。初期のワクチンには確かにインチキで、危険なものもあり、深刻な副作用も存在した。だが、そうした初期のワクチン開発期を乗り越えた後も、反ワクチン運動はなくなることはなかった。統計上、どうしても発生する副作用を発症した親が社会運動家となり、専門的な知見を持たない医者と組んで、ワクチン製造会社を”告発”する。科学的な反証を受けてもなお、運動家たちは意見を曲げることはない。彼らは感情を煽り、善意の顔をして我が子を心配する親たちにつけこむのだ。代償は、克服したはずの感染症の復活である。
本書はこうした反ワクチン運動の実態を暴いていく。ワクチン接種は製造会社の利益のために政府と組んだ陰謀でもないし、感染症はそこにある危機なのだ。
世界に溢れる陰謀論や感情論を克服し、ワクチン接種に対する冷静な態度を取り戻すための1冊である。


初版2018/05 地人書館/ハードカバー

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