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書評<タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源>

タコに代表される頭足類は、地球上の動物の中でもかなり特殊な存在である。一般に知能が高く、意識を持つとされるのは哺乳類に代表される脊椎動物であるが、タコもそれを持つとしか思えない行動を取る。本書はタコとコウイカの行動を様々な角度から検討することにより、タコが進化の途上でどのような能力を獲得してきたかを検討する。

タコは多彩な能力を持つ不思議な動物だ。8本の足を自在に操り、およそ定形をもたず、皮膚の色を周囲に合わせて変化させる。脳と頸椎の一元的なコントロールの配下にある脊椎動物とは対称的に、8本の脚に分散された非常に太い神経系統を持ち、その行動は驚くほど”人間的”だ。本書の著者は哲学者であるため、そうしたタコの特徴を”意識”に中心点をおいて解明していくが、もちろんそこには進化論的、生物学的なタコの特徴の検討が必須であり、身体的、意識的特徴を全般的に取り扱う。そして頭足類の獲得した「意識」と、人間が持つ「意識」を比較検討することにより、地球上の進化の道筋が1つではなかったことを明らかにしていく。
生物の精神面の進化について、新しい視点を与えてくれる1冊だ。

初版2018/11 みすず書房/ハードカバー

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